考えたこと2

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仕事の意味
4月1日は新入社員のことが話題になる。
今日の日経の社説に、新入社員のことが書いてあった。
それによると、「自分のキャリアプランに反する仕事を我慢して続けるのは無意味だ」と考える新人が2013年秋に過去最高の42.4%に達したとのこと。

記事はこう続く。

 「今の学生は長い就職活動で自己分析を重ねる。「こんな長所がある、こういう仕事で生かしたい」とスムーズに答えるべく練習も積む。その結果、会社も自分の夢や長所を理解して採用してくれたと思う学生が意外に多いという。
 しかし、本当の向き不向きは時間をかけ、様々な仕事を通じて見つけるものだ。そうしたことを丁寧に説いてはどうか。目の前の仕事にまず取り組むことの意味を、きちんと説明するのも効果的だ。」

ぼくはこの3月末まで7年間、学生の就職指導の仕事をしてきたが、ここに書かれているのは本当にまっとうな意見だと思う。

実際、学生たちに「自分のやりたいことは何か」というような事を問うことから、就職活動は始まる。その問いが学生と社会を自発的につなぐ接点だからだ。
面談の時も「何かやりたいことはあるのか?」と聞くことからスタートすることが多い。
これは90年代から始まった、インターネットによる新卒求人のシステムが招いたものだ。
学生の就職活動は、会社を検索したり、説明会に行くことから始まる。企業が企業内容を宣伝して、学生を公募する。学校名を聞かない会社も多い。(実際には学校名等でフィルターをかけている会社もあるが)
これが就職初期の通過儀礼のようになっている。
何もしたいことがない学生は、合同説明会に行って、行きたいところを見つけなさい、と言われて出て行く。

つまり、世の中のことを何もわかっていない学生が、無理矢理にでもどこかの会社に興味を持たないといけないのだ。

翻って、ぼくらの時代はどうだったか。
ぼくは理系だったが、学校に来ている求人票の中から選んで就職した。
迷うほどの選択肢はなかった。
ぼくは単にその会社が神戸にあるという理由だけで決めた。
その当時、職業選択に今ほどの自由度はなかったと思う。

ところが、インターネットが出てきて、本当に学生全体に対して公募することが可能になった。
これがナントカナビと言われているものだ。
これが90年代。この時から、就職はオープンなものになった。
オープンという意味は、すべての学生が、ナビを経由さえすれば、どこの会社にでも行ける可能性がある、ということだ。
だから、企業側の選考も厳しい。
何とかしていい人材を選んで入れないといけない。
会社は人で決まる。(もちろん、いい人材とはどんな人材かという問題はあるが…)

というわけで、この頃から大学の就職指導が盛んになった。
学生が会社を選ばないといけなくなったからだ。
文系に限っては、学部、学科の専門性など関係ない。全学部全学科、というような求人がほとんどだ。
昔のように、英文学科だから、英語の仕事を、というようなことはなくなった。英文学科を出ているより、TOEICの点数の方が信用がおけるからだ。

そういう流れで多くの大学で、就職課というような名称がキャリアセンターとかいう名前に変わった。
そして、学生に「何がやりたいのか」を聞くようになった。

時代は流れて、ここ数年は自己分析、業界企業研究といった言葉が就活生に伝えられる。
何がしたいのかをわかるためには、自分のことをわからないといけない。だから自己分析をする。
そして、相手である業界や企業のことを知らないといけない。
これらを知れば、就職できるぞ、ということだ。

そして、冒頭の問題が出てくる。
「自分のキャリアプランに反する仕事を我慢して続けるのは無意味だ」と思う新入社員が4割を超えたということだ。
昔のように、就職した会社に定年までいる、という時代ではないから、自らのキャリアプランは以前よりも大事だというのは事実。
しかし、入って1年目の新入社員の4割以上が「自分のキャリアプランに反する仕事を我慢して続けるのは無意味だ」と思っている、というのは問題だ。

だいたい、「自分のキャリアプラン」など、決めることができるのは何年か働いてからだろう。
自分のキャリアプランが、はたして自分に向いているかどうかもわからない。
働いたことがないからだ。

もうぼちぼち「自分のやりたいことは何か」と聞くのはやめよう。

要は、どこでもいいから、まずは働くことだ。
だから、ご縁のあるところに行ってみるということを推薦しよう。
どこがご縁のあるところか、というと、説明会に行って興味を持てたところだ。
いや、興味を持てなくてもいい…

でも、企業側が「君は何がやりたいのか」と面接の時に聞くからなあ。

みんなして、若い人のやる気を間違った方に導いているのだ。
もうぼちぼち考えなおしたほうがいい。

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