考えたこと2

2024.9.24から、今までhttp:で始まっていたリンクが、https:に変わります。申し訳ありませんが、リンクが見られないときは、httpsに変えてみてください。
CALENDAR
<< August 2021 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
+SELECTED ENTRIES
+RECENT COMMENTS
+CATEGORIES
+ARCHIVES
+PROFILE
+OTHERS
VWの戦略
ドイツの自動車業界の中心はVW(フォルクス・ワーゲン)。
VWはディーゼルの燃費でズルをして大きな失敗をした。
それまで、日本はトヨタを中心とするハイブリッド、欧州はディーゼルエンジンという図式で走っていたのだ。

VWの失態で、ディーゼルエンジン自体の調子も悪くなり、欧州勢はいきなりピュアEVに舵を切った。
今やドイツ勢にとっても大事なお客さんとなった中国が、EV化を進めているのもある。
欧州の脱炭素の動きもあって、EV化の圧力は高い。

しかし、リチウム電池の製造にはかなりの電力を使うらしく、必ずしもピュアEVのトータルのCO2排出量は小さくないのだが、走行中にCO2を出さないというのは印象がいい。
新しい車という感じもある。
また電力を原発や再エネで作れば、電池製造時のCO2はカウントされなくなる。

日本勢は当分ハイブリッドとPHVでいきそうな気がする。
エンジンを捨てるとなると、自動車会社の裾野がなくなるから、なかなか決断ができないのだ。

それはドイツも同じだろうと思うが、雇用慣行が違うので産業の組み換えが日本よりはマシなのだろう。
ただ、必要な人の数はだいぶ減るのは事実。
約1万点くらいの部品が要らなくなる。

ドイツの部品メーカーも、電動化に舵を切ったのだろう。
長年積み上げてきた内燃機関の技術を捨てるのは容易ではなかったと思う。
それでも、VWは外から社長を迎えて、EV化を進めるという。

今のディース社長は2018年から、労働組合と対立を経て、2025年までの社長が確定している。
ハイブリッドを含む電動化に遅れを取ったからこそ、ピュアEVで行く、と決めたのだろう。
2015年にディーゼルの不祥事が発覚し、追い込まれてここまで来たのだ。
ただ、経営陣はEV化では雇用は減らない、と言っているらしい。
今雇っている人は減らなくても、これからの人は抑制するのだろう。

今の所、EVの専業メーカーであるアメリカのテスラを抜き去ることが目標らしい。
2018年から5年間で約5兆7000億円の投資計画を立てて、EVにシフトしたのだ。

だが、希少金属であるリチウムがネック。
今でもEVは電池のおかげで値段が高い。
補助金がなくなれば、価格競争力はないだろう。
新しい物好きの「アーリーアダプター」層がEVを買っているという分析。

一方、既存の自動車に何のしがらみもテスラは、どんどん新しいEVを開発していく。
テスラ車の分解レポートなどをみると、びっくりするような効率的な仕組みをしていると聞く。
パソコンにモーターをひっつけたようなクルマになっているのだろう。
それでも、だいぶガソリン車よりは高いのが現実。

VWは傘下のアウディに最新技術の開発を任せることにしたらしい。
ディース社長は去年の9月、テスラのイーロン・マスク社長を招いて、VWの最新EVであるID3に2人で乗ってEVについて話し合ったとのこと。

VWは2030年にはピュアEVの販売比率を5割にするという。
そのためには、クルマのソフトウェア化に対応して、パソコンのようにアップデートがいつでもできるようにする必要がある。
さらに、自前でバッテリーのコストダウンの開発もするという。

対するトヨタを筆頭とした日本勢はどうなるのだろう。

日本は雇用の特殊事情があるから、そう簡単にEVオンリーにシフトはできない。
さらに、カーシェアなどが進めば、自動車自体の需要も減る。
本当に悩ましい自動車業界。

25年間関わった業界だけに、シュリンクしてしまうのは残念なのだが…。

まだまだどうなるか、わからないと思う。

| hdsnght1957kgkt | 考えたこと | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
豊田社長の言葉
トヨタはトヨタイムズで自社の活動を報告している。
今まで広報を通じて、マスコミで発表していたものを自社で流すということになる。
当然、マスコミは面白くないだろう。

今期黒字の決算予想を発表した経緯について、株主総会で語る場面もYoutubeに出ている。
一人の株主がした質問についての記事だ。
今期の黒字予想だけでなく、そのことを発表したマスコミが、否定的に「トヨタ8割減」という見出しをつけて報道したことについても質問している。

他社が不透明としている数字をあえて発表したのは、日本のトップメーカーとしての矜持があったのだろう。
最近豊田社長は自動車工業会の立場で発言することが多い。
自社を守るのはもちろん、関連会社があって初めて自動車業界が成り立っている、ということを強調している。

そうせざるを得ないほど、ある意味業界の今後が不透明で、EV化や脱炭素などの世界的なうねりの中で苦悩している姿がわかる。
彼は自動車業界で働く人々500万人の気持ちを代弁しているのだ。

トヨタイムズはこう書く。

「株主は会社のオーナーでもある。だからこそかもしれないが、この決算発表を見た時に、「このコロナ禍下でも黒字を確保した」ということを、明るいニュースとして捉えたのだろう。しかし翌朝、「コロナ影響でトヨタの利益は8割も無くなる」という“暗い捉え方”の報道を目にして「え、そっち?」と思ったということだ。」

それに対して、社長の言葉が続く。

「あてになるかどうかでございますが、自動車産業は部品の75%を部品メーカーにお世話になっており、非常に多くの会社様のお世話になって成り立っている産業だと思っております。

トヨタが計画を出さないということは、ともに仕事をやっていただいている多くの仕入先様はじめ、いろんな方々が「どうすればよいのか」と大変お悩みになると思いました。そういう意味で、一つの基準となる計画を出したというのが本音でございます。

今回出した数字が“来期のあてになる数字”ということではなく、あくまで“ひとつの基準”でございます。

我々は、これをひとつの目線や計画としてではなく、“最低限、守らなきゃいけない基準”であると社内に伝えております。

何よりご理解いただきたいのは、リーマンショックの時の「販売台数15%減、赤字4600億円」だった会社が、みんなの努力で損益分岐台数を下げた結果、今回、リーマンの時よりも多い販売台数20%減にもかかわらず、こうして黒字を確保できる計画をお示しできたことは、まさしく、(株主の)皆様方の中長期にわたるご支援の賜物だと思います。この場を借りて御礼申し上げたいと思います。」

これはぼくがトヨタに関わる仕事をしていた頃からの、トヨタの公式姿勢だった。
まあ、実際に仕事をしていた頃は、「トヨタが儲かるように頑張ってくれ」という意味だと取っていたのも事実だが…。
それでも、こういうことを言えるのは立派だと今になって思う。

そして、社長はマスコミの報道に対しての言葉を続ける。
長い引用になるが、ぼくも同じように思った。

「「話は長くなりますが…ロバを連れている老夫婦の話をさせていただきたい」と続け、豊田社長は“例え話”をはじめた。

ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。

「ロバがいるのに乗らないのか?」と。

また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。

「威張った旦那だ」

奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。

「あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない」

夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。

「ロバがかわいそうだ」

突然はじまったロバの話に会場は聞き入った。
そして、豊田社長は話を続け“例え話”の意味を解いた。

要は「言論の自由」という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。

最近のメディアを見ておりますと「何がニュースか?は自分たちが決める」という傲慢さを感じずにはいられません。

「一億総ジャーナリスト」と言われるくらい誰もが情報を発信できる時代です。

情報によって人を傷つけることもできれば、元気にすることもできると思います。

大切なことは、「その情報を伝えることによって、何を実現したいのか」ということだと思います。

もっと言いますと、「どんな世の中をつくりたいか」ということです。

決算発表で、予想を出し、ああいう発言をしたのは、皆様に少しでも元気になっていただきたい。

皆様にトヨタが幸せを量産する会社だと思っていただきたいと思ったからでございます。」

社長がマスコミに対して思っていることは、自動車業界を始めとして多くの人達が思っていることだろう。
トヨタはこれからネットを通じて、トヨタイムズで「報道」していく、という宣言だと思う。
今のマスコミは不幸の報道ばかりだ。
コロナの報道を見ているとよくわかる。

現役時代はトヨタは嫌いだったが、方針を変更してトヨタを応援するぞ。





| hdsnght1957kgkt | 考えたこと | 00:39 | comments(0) | trackbacks(0) |