考えたこと2

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公認心理師
新しい資格ができるらしい。
公認心理師という。

心の不調に対処する人のための資格。
今までは臨床心理士とかがあったが、実は民間資格だった。
これは初の国家資格になる。

実際には臨床心理士という大学院卒を要件の一つとする専門職は、文科省は絡んでいたが、あくまで国家資格ではなく民間のもので、それに類した資格は山ほどある。

Wikipediaによると「日本では、心理士、心理カウンセラー(相談員)、心理セラピスト(療法士)などの心理職には国家資格が存在しない一方、民間の心理学関連資格は多数存在する。「○○心理士」「○○カウンセラー」「○○療法士」など名称は様々であるが、いずれも、学会や民間団体が認定する民間資格であるため、求められる専門性や取得までの難易度は千差万別である。学会が認定する資格の中にも「学会商法」と批判されても致し方のない、安易な認定基準や認定方法の資格が存在しているのが現状である。」と書かれている。

これは事実で、心理学に関しては学会の数も驚くほど多い。
とりあえず、公的な資格が6つ、学会認定の資格が22個、民間の資格は100を超える。
似たような名前の資格がたくさんあり、これだけあれば、やりたければ誰でもできるというレベルだろう。
人文・社会系の学会数でも、心理学・教育学という分野は112の学会があり、経済学や法学に比べて突出して多く、分野で1位だ。

ぼくは大学で臨床心理学に関わったが、外から見ていると学会同士で仲が悪い。

お互いに、信奉する家元のような人がいて、自分たちの理論が正しい、というところは一歩も譲らなかったりする。
本家本元の日本心理学会というのがあるが、これはどちらかというと実験系の学問。
サルの脳みそに電極を入れたり、ネズミに学習させたりするという実験をメインとしている。
当然、日本心理学会が一番大きいと思いきや、今や心理臨床学会の方が一桁多く、2万人以上いる。
民間ではあるが、大学院の専門職として臨床心理士という資格を作った、もと文化庁長官の臨床心理学者、故河合隼雄の力は偉大だったんだろう。

なぜ、心理臨床学会が臨床心理士の資格をだしているのか、臨床心理学会ではないのかと思うが、元はちゃんと臨床心理学会だった。
そこから喧嘩別れしてできたのが、心理臨床学会で、これが今は一番大きい。
だから、名前のねじれが起こった。
今も臨床心理学会はあるが弱小学会になってしまった。

それ以外に、信奉する心理学者を崇拝する会もある。例えば、ユング派ならユング派だけの会もある。
このあたりの会に入っている人は、ちょっと排他的だったりする。
フロイトではダメだ、ユングが正しい…などと宣ったりする。
人間の心の学問だから、合ってるも間違ってるもないだろう、などと言おうものなら、怒られる。

事ほど左様に、まとまりがないのが心理学の学問の世界。
ここまでは、文科省の領分だ。

しかし、心の病が増えてきて、厚労省も黙ってみていられなくなった。
長い間、臨床心理士を国家資格に、という声は関係者から出ていたが、結局は医師会の側の反対意見もあったりして、今回の公認心理師という資格になった。
資格試験は文科省と厚労省が共同で実施する、という珍しいパターン。
臨床心理士という資格はこれで廃れるような気がする。

移行期間の5年間は、いますでに心理の仕事に就いている人は、講習会と試験を受けて公認心理師になれる、ということらしい。
当然、薬の処方などはできず、認知行動療法などを使って、心の問題に取り組むそうだ。

長い間、臨床心理学の先生たちと付き合ってきて、ぼくが抱いた感想を書いておく。

・仲間意識が強く、排他的なところがある。
・コミュニケーションはどちらかというと下手。
・心理学を嫌っている人が多い。(臨床心理学は心理学とは違うと思っている)

まあ、これは学者に当てはまることかもしれないが…。

ということで、ついに心理系の国家資格ができたということで、よかったと思う。


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