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2025.08.22 Friday
シャノンの予言
日経の記事によると、1951年にクロード・シャノン氏は「次に来る文字や単語を統計的に推定することで、人間の知性や言語理解を再現できる」という論文を書いたとのこと。
彼は情報通信技術の基礎を築いた人だ。 シャノンのサンプリング定理というのは、振動や音の測定をする人は聞いたことがあるはず。 ぼくも先輩から教えてもらった。 観測したい振動の倍以上の周波数でサンプリングしないと、観測できないということだったと思う。 20代の頃だったなあ。 その彼が提唱していたことだ。 当時は人間の知性はそんなものではないということで、批判を浴びたとのこと。 それは誰でもそう思う。 ぼくもそう思った。 今のAIの技術の基礎である「トランスフォーマー」はその単語や文脈から、次に来る単語を推定するという技術。 要はシャノンが言ったことを実行しているのだ。 そうすると、思った以上に人間らしい文章が生成される。 膨大なネット上の文章を学んで、それぞれの単語の意味をベクトル化して、それらを合成して文章の意味を推定して、次に来る単語を推定し、またそれで作られた文章の次に来る単語を推定する、という膨大な計算量でAIは答えを出している。 シャノン氏の頃にはできなかった推定が、今は計算資源と学ぶテキストが豊富に使えるようになって、実現したということだ。 ということは、人間の知性というのも、同じようなことをやっている可能性が大きい。 あまりにも、人間が作ったような文章が生成されるからだ。 脳のメカニズムはまだわかっていない。 それでも、単純な文章の穴埋め問題の理屈だけで、こんなに正確な文章を作るとは驚きだ。 でも、それを予言できたのは人間であり、それは偉大なことだと思う。 そこに人間の価値があるのかもしれない。 改めて、偉大さを知った。 シャノンは人間の価値を示した天才だったのだろう。 |
