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2018.12.27 Thursday
国語 2
こないだ、国語の教科を20000時間習っているが、国語の教え方は難しいといわれていることを書いた。
そのことを「教科書が読めない子どもたち」の著者、新井紀子氏が立証している。 次の2つの文が表す内容は同じか?という問題を全国の中学生857人にしたとのこと。 「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」 「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」 読んだらすぐ違うとわかるのだが、この正答率が57%だった、というからビックリする。 2択のテストなので、ランダムに選んでも50%は正解するところ、57%だから驚異的に低いということだ。 そこで、新井氏はリーディングスキルテスト(RST)というのを作ったらしい。 RSTは、これまでに学校や企業324機関が参加して、7万人を超える人が受験。 年齢層は小学校6年から社会人まで幅広い。 今回フォーラムがあって、受験者の分析結果が報告されたとのこと。 RSTは以下の6つの能力を測る。 係り受け解析:文節どうしの関係性(主語と述語の関係、修飾語と被修飾語の関係)の理解 照応解決:指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語の理解 同義文判定:2文の意味が同一であるか 推論:文の構造を理解したうえで、常識等を動員して文の意味を理解する力 イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力 具体例同定:定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力 リンクのページにはそれぞれの例題が出ているが、いずれもそんなに難しいものではない。 イメージ同定と具体的同定は例題では数学的な内容になっている。 といっても、四角形と円がわかるかどうかとか、偶数と奇数の話だから、そんなに難しくない。 しかし、「イメージ同定」の正答率は中1で約3割、高1で5割弱。「具体例同定」は理数問題だと中1で2割弱、高1では3割強という低い正答率だったとのこと。 図形や数が出てくると、苦手なのは経験的にわかるが、それにしてもひどいと思う。 一部上場企業の社会人にもそういう人はいる。 引用すると、 「新井さんは「面接でとても元気があったから、営業向きだと評価されて採用されたのだと思いますが、約款や契約書が理解できないから、コンプライアンスが守れない危険性がある」と指摘しました。 RSTを導入した一部上場企業全体では、6つのタイプの問題のうち1つ以上のカテゴリーで能力値が中学生の平均を下回る評価を受けた社員が、8%から30%含まれていることがわかっています。」 ということらしい。 たしかに、文章が読めないということは、そういう内容を話されても理解できないということであり、危ない状態だ。 こないだの中沢氏の国語の教育の話にもあったが、指導要領自体にも問題があるように思える。 文章を味わうことも大事だが、ちゃんと読むことも大事だ。 新井氏が問題提起している、教科書が読めない、ということが教育を成り立たなくしている、ということだが、それを一番わかっているのは現場で教えている人たちのはず。 そういう問題がちゃんと共有されておらず、認識されていないのが一番問題だろう。 新井氏が言うように、AIが発達する将来、仕事をしていくためには教科書を読む読解力が必要、というのは真実だと思う。 それが必要十分なのかどうかはわからないが…。 割合がわからないのも、「元になる数」「比べる数」という言葉がわからないのかもしれない。 小学校では、本当に読み書き算盤に力を入れるべきだと思う。 英語やプログラミングなど、そもそも国語が出来なければ教えることもできない。 これは本当に問題だと思う。 |
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