考えたこと2

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日本の携帯
谷崎光という作家がいる。
以前「中国てなもんや商社」という本を読んで、面白かった。
レビューを書いたと思っていたのだが、書いてなかった。
とにかく、この人はまだ中国で日本の会社が本格的に商売をする前に、大阪の商社で中国担当になり、一人で中国に行ったりして、えらい目にあったというノンフィクションを書いた。
その次に出た、「北京大学てなもんや留学記」というのも買ったはず。
どこにあるのか、わからないが…。

すごくリアルで、説得力のある中国が描かれていた。
アマゾンで古本は安いから、興味のある人は買われてもいいと思う。
ちょっと昔の中国の話だが、とにかく面白かったし、ためになった。

その人が中国の携帯電話について、記事を書いている。
中国のスマホメーカー、オッポという会社の社長へのインタビューだ。
このオッポはアジアNo.1ブランドの中国メーカーらしい。

日本の携帯電話は中国で惨敗したのだが、その理由を聞いているところが興味深い。
ちょっと長いが、その下りを引用する。

「中国は、世界市場である。

 日本だと官と企業が一体となり外資参入の壁を高くするが、中国では昔は技術が低かったせいもあり、少なくとも未発達分野の初期は外資を歓迎する(もちろんいろんな技術移転の仕組みはつくる)。

 その中で、他国の各社も最初は実はけっこう“外したもの”を出していた。しかし、彼らはそのうち市場を読みとり、どんどん軌道修正をしていった。

 モトローラもノキアもサムスンもアップルも、中国製のスマホが今のように勃興する前に、少なくとも一度は天下を取っている。アルカテルなどの欧州メーカー(当時)もそれなりにファンをつかんでいた。

 しかし日本だけが、「わが日本のすばらしさを知れ」とばかりに、一般の中国人が好まぬ折り畳み式携帯電話をドヤ顔で押し付けてみたり、いらぬ機能ばかりだったりと、かなりトンチンカンだった。かろうじてソニー・エリクソンの音楽携帯が一部で認知されたが、基本、最初から最後まで外しまくって、ほぼ全社が撤退した。」

ということらしい。

結局日本の携帯会社は、中国の消費者のマーケットを読めなかったということだ。
日本では携帯キャリアが主導で仕様を決め、割当に従って納入すれば、全部買い取ってもらえるらしい。
携帯キャリアと携帯のメーカーは村社会を作り、文字通り「携帯社会主義」になっていたのが敗因。
筆者の批判は手厳しい。
未だに、それは続いていて、だから日本の携帯メーカーは海外で弱い。
多くの会社が撤退している。

日本が世界有数のiPhoneの市場なのも、日本の携帯メーカーがダメだからだ、という。
あまりにも携帯キャリア主導で、携帯メーカーが市場を考えなくなってしまった。

そういえば、ぼくのスマホにもいろんなKDDIのアプリが入っている。
みんな消したいのだが、何かを消せばキャリアとの通信がトラブりそうで、消せない。
ホントにうっとうしいと思う。
こういうのが、困るのだ。

一時台湾のHTCのスマホを使っていたが、あれも日本のキャリアの仕様になっていた。
結局、日本のキャリア業界は政府の規制に守られ、電波村を作り、携帯メーカーを巻き込んで、携帯村を作ってしまった。
それが日本の携帯メーカーが世界で負けた原因だという。
その通りだろう。

でも、これから人口が減る日本だけで商売していて、勝てるはずがない。
この状態は何とかしないといけない。

電波は共通財産だという考え方がなく、総務省が電波使用料を取ってキャリアに割り当てている。
今更どうなるのか、わからないが、テレビの電波でもバカの民放連が自分たちの利権を守ろうとして、屁理屈を捏ねているから同じようなものだ。

中国では携帯というハードと電波というソフトは分かれており、ハードを買ってSIMカードを別に買う。
いわゆるSIMフリーというやつだ。
日本は周回遅れで、今頃SIMフリーの格安携帯というのをやっている。
それでも、電波はキャリアの息がかかっており、結局は格安携帯ショップで契約することになる。
中国では、SIMカードを店で買ってセットすれば使えるのだ。

社会主義である中国が自由で、資本主義である日本に政府の規制がある。
それが日本の携帯が世界で負けた理由だ。

残念ながら。

電波社会主義はもうやめよう。


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