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2016.11.04 Friday
108年の呪い
野球で一番おもしろいゲームは8対7だという。
今年の大リーグのワールドシリーズの最終戦のスコア。 つまり、接戦、ということだ。 今年のワールドシリーズはシカゴ・カブス対クリーブランド・インディアンスの戦いで、7戦目までもつれた。 第4戦が終わった時点でインディアンズの3勝1敗。 インディアンズがあと1つ勝てばワールドシリーズ優勝という、圧倒的優位だった。 それを跳ね返しての優勝だ。 7戦目も延長10回表にカブスが2点を取り、その裏に1点取られたが、ゲームを締めて勝利という劇的な勝ち方。 わざわざBSで延長を中継していた。 カブスはワールドシリーズ7連敗中。 このチームには有名な「ヤギの呪い」の話があったという。 1945年の話。 カブスファンのパブ経営者が人気者のペットのヤギを連れて、カブスが出たワールドシリーズに行ったところ、そのヤギが臭いことを理由に入場を断られた。 その時に彼が「カブスは二度とワールドシリーズに優勝できないだろう」と言ったという逸話。 実際、カブスは1908年に優勝して以来、優勝できていなかった。 本当に呪われたとは思わないが、そういうエピソードがまことしやかに伝えられ、みんなが熱中するというのが面白い。 何といっても、108年ぶりの優勝だからファンの感激もひとしおだろう。(負けた方のインディアンズも優勝すれば68年ぶりだったらしい) ツイッターには、バック・トゥ・ザ・フューチャーで2015年にカブスが優勝する、というニュースを見て驚く、という場面が一年違いで実現したとか、FOXの視聴率は過去最高だったとか、いろんなニュースも飛び交った。 シカゴというと、サラ・パレツキーのウォーショースキーという女性探偵のハードボイルドの舞台。 その小説にも「またカブスが負けた」というセリフがよく出てくる。 読者にもカブスというと「負けた」というのが決まり文句で通っているんだろう。 カブスは2003年にもワールドシリーズの出場をかけた試合で、ファウルフライを観客にジャマされて取りそこね、そこから8点取られて大逆転され、結果的に出られなくなったという不幸な過去もある。 それでも、今年優勝したから、また運が巡ってくるのかもしれない。 大リーグはアメリカン・リーグとナショナル・リーグからなっており、全部で30球団もある。 さすがに広い国だから、日本のプロ野球の倍以上のチーム数だ。 だから、まだワールドシリーズの優勝を経験していない球団もある。 そんな中、108年ぶりとはいえ3回目の優勝を決めたカブスは大したものだ。 これでいろんな因縁もリセットされて、来シーズンからは白紙でスタートできる。 でも、「ヤギの呪い」という因縁はなかなか面白かったのに、残念だ。 シカゴを舞台にした小説は、これからカブスのことをどう書くのだろうか。 |
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