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2008.05.25 Sunday
素粒子のモンスター
ハヤカワ文庫アシモフの科学エッセイの第11巻。
このシリーズ3冊目を読んだ。 アシモフ先生の博学多識はすごい。 それ以上に、アシモフ先生自身が楽しみながら書いているのが伝わってくるのが楽しい。 自称「おせっかいな物知り屋」らしいシリーズ。 相対性理論の話、植物の葉緑体の話、初めて空を飛んだ人の話(ライト兄弟ではなく、気球で飛んだ人がいる…残念ながら最初の墜落事故を起こして亡くなった)など、次から次へと手品師にように繰り出される。 話の中でいつも感心するのは、リクツを述べるだけではなく、そのことに絡んだ人たちのことが語られることだ。 科学の歴史は、人間の歴史でもある。 正統に評価されている人、不幸にも少し遅れてしまって名を残せなかった人、惜しくも死んでしまってから評価された人…、アシモフ先生はそれらを丁寧に発掘して、暖かい目で紹介する。 標題となっている素粒子のモンスターというのは、磁気単極子のこと。 電気は、陽子と電子というプラス、マイナスのものに分かれるのだが、磁気はどんなものにもN極とS極が存在する両極子しか見つかっていない。 きっと、単極子(N極、S極のどちらかだけを持つ粒子)が存在するはずであり、それはすごく質量の大きなもの(モンスター)であるという話。 この本は1987年に出版されているが、残念ながら今でも書いてあることはそのままだった。 20年経っても、見つかっていないのだ。 逆に言うと、20年前に今でも通用しそうな話題を選んで書いているということになる。 あと何冊か読むつもり。 |
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