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2024.05.14 Tuesday
子持ち様
ずっとやってきた政府の少子化対策。
94年に始まったエンゼルプラン以降、対策の効果があったという話は聞いたことがない。 それは、変えないといけないところを変えないからだと思う。 それどころか、最近SNSで「子持ち様」批判が盛り上がっているという。 職場で「育児を理由に仕事を切り上げたり育休を取る同僚」への批判が「子持ち様批判」。 この解説に詳しい。 ぼくはこの解説を書いた城繁幸氏のメルマガも購読しているが、本当にこのとおりだと思う。 90年代から続く低成長の大きな要因の一つが、雇用の体制だと思う。 それがいろんなところで悪さをしているのだ。 この解説を引用すると、 「賃金制度では、担当する職務に応じて賃金の決まるジョブ型賃金と呼ばれるものが世界標準で、日本でも非正規雇用のほとんどはこちらが主流です。 一方、日本の正社員は職能給と呼ばれるものが一般的で、こちらは担当業務とは関係なく、多くが勤続年数に応じて上がる実質的な年功給として機能しています。 具体的に言うと、採用面接では具体的に任せる仕事内容は曖昧なまま採用可否を判断され、採用後は色々な職場で同僚と協力しながら部署全体の仕事を進めるイメージです。 具体的な業務範囲は確定しておらず、人によっては日によって担当する業務は変わるということも珍しくありません。 こういう仕組みでは「手が空いた人間は機動的に動いて他者をカバーできるし、新たな状況にも対処しやすい」というメリットがあるとされています。 一方で、能力的についてこれなかったり休んだりする人間の穴は「同僚がみんなでカバーしなければならない」というデメリットもあります。 このデメリットこそが「子持ち様に対する批判が高まりやすい」ことの構造的な理由ですね。 ちなみに日本の有給休暇取得率が異様に低いのも同じ理由です。業務を切り分けずみんなで一緒に仕事をする中で「自分はやることやったので有給取りますね」とはなかなか言いにくいでしょう。」 ジョブ型の欧米でさえ、少子化は問題になっている。 だから、日本型の終身雇用、メンバーシップ型ではダメなのは当然だ。 ところが、年金や健康保険が終身雇用とひっついているため、雇用の体制が変えられない。 もちろん、厚労省はこの雇用体制を変えようとはさらさら思っていない。 それを変えないと、何をしても少子化は止まらないと思う。 |
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