考えたこと2

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初めての不運
キャリアサポートという課に行くことになったのが2007年。
最初の半年は課の人たちが相談をするのを見て、要領を覚えた。
だいたい毎日学生が相談に来ていたが、それを後ろで仕事をしながら聞いているという感じ。

当時の大学の人事は4月に発令だが、4月は新入生が入って何かと忙しいので、実際の異動は6月1日だった。
ぼくのやっていた仕事は、課がなくなったので、一緒の部屋の人に引き継ぎ、キャリアの建物に変わった。

普通の事務なら、始めたころは失敗しても上が直してくれるが、カウンターで1対1でやる仕事や、医師の手術などはどうしても「初めて」がある。
そして、「初めて」に当たった人は不運だ。
ぼくも相談業務を始めたときに失敗した。

エントリーシートに書いてあることで、本人がすごくこだわりがあることに気づかず、それはちょっと不利かもしれないなどと言ってしまって、大泣きされた。
周りの人たちはみんな「仕方ない」と言ってくれたが、あれは気の毒なことをしたと今でも思う。
もう一人、家庭のことで苦労していて、遅い就活を始めた学生。
遅くなってもまだまだ求人はあるから頑張ろう、などと励ますと大泣きした。
その時も、ちゃんと相談できてなかったのだろう。

そういう人たちは、相談に来なければよかったなどと思うかもしれない。
こんな事になるなら、やめた方がまし、というやつだ。

でも、そういう失敗を重ねて、一人前になっていく。
ビギナーというのは、そういうものだ。
不幸にしてビギナーに当たってしまった人は、不運としか言いようがない。
1対1の仕事をする人たちは、みんなそういう経験を持っているはず。

どんな名医でも、初めての手術は必ずある。
どんなカリスマ相談員でも、初めてのクライアントは必ずいるのだ。
逆に、ビギナーの時に失敗することが、自分の勉強になったりする。

もちろん、最初から上手にやる人もいるだろうが、なんせ初めてのことだからわからなかったり、間違えたりすることもある。
それは仕方がない。
どんなシステムを作ろうと、それは避けられない。
経験が人を育てる、ということだから、どうしようもない。

だからと言って、対面したときに「私はビギナーです」などと言ってはいけない。
そのこと自体が相談業務を阻害するからだ。

そういう意味では、対面業務をする人たちは、みんなすねに傷を抱えている。
今はベテランになって、何食わぬ顔をしている人も、同じだ。

そういう「傷」を常に意識している人が、逆にいい相談員になる。

それが、「初めての不運」を経験した人に対する罪滅ぼしなのだとぼくは思う。



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