考えたこと2

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自己肯定感
年が明けると、就職筆記試験がぼちぼち現実になるから、だんだんと学生も熱が入ってくる。
そのせいか、相談窓口を訪れる学生も増えてきた。

実は、質問に来やすいように、週に2回講義をしている。
1回は昼休み30分。これはプリントを渡して、駆け足で説明する。
もう1回は90分のコマを使ってやっている。
そこで伝えられることはしれている。
学生がどこまでできるかの幅も広い。

結局、これらは顔見知りになって、質問に来やすいようにということが目的の一つ。
みんな、なかなか質問に来ない。
何やかや言っても、直接質問に来にくいのだろう。

時々、意を決して質問に来る学生もいる。
思いつめたような厳しい顔つきで来るから、よくわかる。
よほど重大な決心なのだろうと思う。

そういう顔つきの学生は、切迫したように「小学生のレベルができない」という。
分数の計算や小数の計算、歩合やパーセントの計算ができない、という相談だ。
自分でも恥ずかしいと思っている。
だからこそ、厳しい顔つきになる。

そういう人たち向けのプリントも用意してあって、3段階くらいでやらせてみる。
ぼんやりとはわかっているのだが、自信が持てない。
もちろん使っているのは、小学生用のドリル教材。
ネット上でフリーのものを見つけた。

いきなりリクルートが開発したSPIというテストなどできない。
これは時間制限があって、考えたらできる、というレベルでは無理。
余裕でできる、という段階までいかないと、いい点数はとれない。
だから、そういう人たちには得意なところを1つ作ってそれだけはやろう、と励ます。

本当にやりたいのは試験対策ではなく、世の中に出る前にこれだけは知っておきたい、という数の知識を伝えること。

学生たちがつまづいている一番の難所は、全体を表す「1」だ。
1/2の「1」と1,2,3の「1」は同じ「1」でも意味が違うということだ。
小学校で習う割合の一番のキモだと思う。

彼らの「恥ずかしい」という思いをつのらせた顔を見るにつけ、どうして今まで、小学校のつまづきをそのままにしてきたのだろうと思う。
自分はできないと思うから、自己肯定感は必然的に低い。
90年代にすでに「分数ができない大学生」という本が出て、文科省も教育委員会もわかっていたはず。
何度も書くが、この事態は深刻だ。

これは彼らが悪いのではない。
硬直化した教育界が悪いのだ。

一人の学生は、高校の時に数学の先生に「このままやったら、ヤバいぞ」と言われたとのこと。
その先生はエライと思うが、そういう生徒たちを救う仕組みを作ろうと思わなかったのだろうか。
学年ごとに教えることを決めて、そこから外れられないという仕組みを変えて、もっと柔軟に運用すべきだと思う。

そういう学生に会うたびに、日本の初等、中等教育の破綻を感じて、腹が立つ。

小学校の先生同士でいじめをやっている場合ではないぞ。


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