考えたこと2

2024.9.24から、今までhttp:で始まっていたリンクが、https:に変わります。申し訳ありませんが、リンクが見られないときは、httpsに変えてみてください。
CALENDAR
<< September 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
+SELECTED ENTRIES
+RECENT COMMENTS
+CATEGORIES
+ARCHIVES
+PROFILE
+OTHERS
加齢現象
「肝心なことはすぐに忘れ、忘れてしまいたいことはいつまでも忘られぬ。」
「剣客商売」の主人公、秋山小兵衛の言葉。
作者の池波正太郎も、そういう思いがあったのだろう。
彼がこれを書いたのが60代。何となくぼくにもわかる。

人によってばらつきはあるのだろうが、50代後半くらいから、そういうのは始まる。
何かをしようとして、立ち上がり、歩いている最中に何かを話しかけられ、それが終わると「自分は何をしようとしていたのだろう」と考える。
しばらく考えて、忘れたと思い席に戻ると思い出したりする。

還暦というのはよくできたもので、昔に比べて今は相対的に若くなったとはいえ、やっぱりいろんなところでガタが出てくる時期なのだ。
身体能力だけではなく、脳の能力もそうなる。
だから、いまやろうと思っていた肝心なことを忘れてしまう。

それでも、過ぎ去った昔のことは覚えている。
ああ、あの時、あんなことがあったとか、どうしてこちらを選んだのだろうとか、あの時あんな失敗をしてしまったとか、そういうことは忘れられない。
もう過ぎ去った今となっては、忘れてしまいたいのだが‥。

認知症になっても、昔のエピソード記憶は残っている場合があると聞いた。
一度脳の奥にしまわれた記憶はなかなか消えないのだ。
だから、年をとったら子供に戻ると言われるのだろう。

記憶は人間そのものだ。
身体の細胞は入れ替わって、ほとんど別人になっても、記憶は消えない。
それが人間を形作っている。

認知症になると、新しい記憶は覚えられないし、消えていくということだ。
残念なのは、最近の何十年かの記憶がどんどん消えていくということ。
知り合いの顔も忘れ、どんな関係だったかも忘れる。
自分が経験したことも忘れる。
要するに自分を失っていくのだ。

それは辛いだろうと思う。
でも、長寿化にしたがって、どんどん認知症は増えている。
社会とのつながりがなくなると、そうなりやすいのかもしれない。
人間は「人の間」と書くように、関係の中で生きているからだ。
他人との関係がない「ヒト」になって、人間社会で生きるのは大変だ。

発症がゆっくりだから、なかなか薬もできない。
人によって、ばらつきもあるのだろう。

加齢によって、いろんな不具合が起こる。
昔はそれを体験できるヒトはほとんどいなかった。
寿命が短かったからだ。
でも、今は寿命が長くなって、そういう人がどんどん増えている。

これは喜ぶべきことなのか‥。

| | 考えたこと | 22:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
ドラマの価値観
アメリカのアクション系のドラマには、特定のパターンがある。
こういうシチュエーションになったら、こうする、というものだ。

時限爆弾の解除をするとかいうパターン。
一人がそれをやっているが、仲間が見守っている。
そういう時、最後の線を切ったりするときに、自分から離れてくれというが、仲間は離れない。
Not a chance、とかいう。
合理的に考えて、仲間が爆弾から離れるというパターンもあるが、離れないパターンの方が多いように思う。

海兵隊が出てくるドラマなどもそうだ。
現実の世界なら、どう考えても撤退するピンチの場面。
司令部の指示は撤退。それでも、仲間を残しては逃げない。
たいがいは仲間を救いに行って、ギリギリのところで脱出。
そういうパターンだ。

今、ケーブルテレビで、昔やっていたSWATのリメイクをやっているが、そこであったパターン。
FBIの捜査官の息子が人質になり、押収した麻薬を返さなければ殺すという。
規則で、押収した麻薬を持っていくのはダメで、偽物を作る。
しかし、捜査官は息子を救うため、規則を破って押収した麻薬を一人で持っていく。
SWATの隊長は、捜査官が規則を破ったことを報告せず、部下たちに「俺は一人で助ける。お前らはクビになるから、知らなかったことにしろ」という。
それでも、部下たちは隊長についていく。
そして、取引の現場にみんなで行って解決。
こっそり、本物を戻しておく。
こういうのも、よくある。

これらの場面で共通しているのは、「仲間は家族であり、決して見捨てない」というメッセージ。
場合によっては、規則を破ってもそれを貫く、ということだ。
裏を返せば、現実の世界でも、危険な仕事が多いということだろう。

現在のアメリカは、18歳から26歳の男子がいざという時の徴兵に登録している。
それとは別に、志願兵制度も機能しており、主に貧困層の若者が志願しているらしい。
不法移民がそれらの受け皿になっている、というサイトもあった。

志願兵を集めるという目的でも、これらのドラマは機能しているのだろう。
兵隊になって、軍の一員になれば、強いメンバーシップがあり、誇りと栄誉が待っているし、どんなに危ないときでも見捨てられない、ということだ。

ドラマでは、たいがいピンチになっても助かる。
現実ではそういうわけにはいかないだろう。

そう思うと、美しく描かれているドラマの裏側が透けて見える。

それでも、そういう価値観を刷り込まれた人たちは、実際にそういう行動をするかもしれない。
それはそれで、すごいことだと思う。

その価値観自体は、悪いことではないと思う。

それをプロバガンダと見るか、それともアメリカの普遍的な価値観と見るか、難しいところだと思う。


| | 考えたこと | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0) |