考えたこと2

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就活ルール廃止 2
経団連会長の中西氏は日立の社長で、海外経験が長いらしい。
対談などを読むと、かなりアメリカナイズされた考えを持っておられるように思う。
したがって、日本型雇用慣行のデメリットも知っており、それを打ち破らなくては日本の企業の復活はない、と思っている様子。

年功序列、終身雇用という日本型の雇用システムを前提とした、新卒一括採用では、このグローバル化を乗り切れないということだろう。
優秀な若い人たちが、外資に行って高い給料をもらう。
それは外資からしたら当然ということだ。
どんどん雇用もグローバル化してきたら、優秀な若者は出ていってしまう。
そういう姿を見てきたから、「就活ルール廃止」という言葉が出たのだと思う。
超大手の経団連企業といえど、2倍、3倍の初任給を出す外資系には勝てない。
どうしても、能力のある人達は能力給に行くのだ。
ここ数年が、その時期なのかもしれない。

日立ではそういう改革をやっているという。
海外企業と戦っていくには、日本型の年功序列を排した給与体系、雇用体系が必要だということ。
だからこそ、経団連の加盟企業に訴えたという格好。
これは結構根が深い問題だ。
日本の雇用慣行を変える第一歩になるかもしれない。

一方で、ニューズウィーク日本版に冷泉彰彦氏が書いているのは、経団連の会長の「ルール廃止」の主眼は時期の問題ではないだろう、ということ。
ぼくもずっと思っていたのだが、日本の文系の採用は専門知識が問われない。
文学部も経済学部も法学部もどこでもいい、という採用がほとんど。
実際には面接で大学の専攻が効いてくるとは思うが、それでも入り口では関係ない。
「学部学科不問」という採用形態。

なぜかというと、入社してからの研修やオン・ザ・ジョブ・トレーニングでやれる、ということらしい。
逆に生半可な知識を持たれても困る、というようなこともある。
しかし、それでは間に合わなくなってきた。
教育しているヒマがないのだ。
だから、もっと大学で即戦力となる知識を教えてほしい、ということだろう。

ぼくはそれ以外に、下位校では実質3年間のプログラムになっている、ということが問題だと思うのだが、とりあえずそれは置いておこう。

冷泉氏の記事にはこう書かれている。

「現代は仕事に関わる専門性はどんどん高度なものが求められる時代です。本当に、大学というのは入試で「地頭(じあたま)」の良さを証明してくれればよく、教育内容には期待しないという「日本流」が通用するのでしょうか。また、各企業は高度な職業教育のコストをいつまでもかけられるのでしょうか。こうした点で、そろそろ限界が見えてきているように思います。

一方で大学側にも疑問があります。専門性が求められる時代に、明らかに社会人のキャリアには繋がっていかない教育内容なのに、それにこだわって「就活で授業を妨害するな」と主張するのは、どこか不思議な感じがします。

それ以前の問題として、そこまで相互に不信感があるのであれば、企業側は「学士号は不要」つまり優秀な基礎能力を証明できる学生には、大学を卒業してもらわなくても構わないという姿勢を見せてもいいのかもしれません。一方で大学は、そんなに教育が大事なら、就活による欠席は「サボり」と扱って、面接とか説明会とかいった理由で欠席した学生には単位を認めないという措置も可能なはずです。

しかし、企業側も大学側も「そこまでの度胸はない」ようです。」

今の状態なら、文系の大学は4年間を有効に使っていないということだ。
それは、ぼくもその通りだと思う。
象牙の塔に昔からいるようなセンセイが、カビの生えたような知識を教えていても、だれも問題にしないのは事実だと思う。
それを経済界から問題提起されたということになる。

実際、ユニクロは1回生から内定を出すという。
大学での学びは関係ない、と言い切っているのだ。
その大学の入試に通るということが、能力を保証している、ということになる。

そんな状態がいいとは思えない。
だからこそ、冷泉氏は大学でつける知識をキャリアに直結させるべきだという。
その通りだと思う。

しかし、今の大学の教員の何割が、それを教えられるのだろうか。
教員の能力に問題があると思うが…。

いずれにせよ、これからいろんな議論が始まることを期待する。

ずっと見てきて、今がいいはずがないからだ。


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