![]() |
2016.01.20 Wednesday
アジア進出
ベトナムに行くという人がいる。
もう55歳である。 以前も東南アジアで働いたことがあり、その活気や若さに魅力を感じて、どうしてももう一度行きたくなり、会社を変わって行くことになったということだ。 「町歩いても、年寄りなんか見まへんデ」 彼は言う。 そうだろうなあ。あのへんはまだまだ発展途上であり、若い国だ。 入った会社は小さな会社である。 従業員が30人。 えらい少ないなあ、というと、アジアに3ヶ所の工場があり、そちらに生産はほとんど移転したということだ。 きっと数百名いた従業員は、ほとんど退職を余儀なくされたということだろう。 会社が生き残るためには、それしかなかったということだ。 それでも、この会社は資金力があったんだろう。 それもない会社の多くは潰れるしかなかったのだと思う。 バブルが崩壊し、グローバル化が進んで、本当に製造業は苦しくなった。 海外から安い人件費で作った製品が入ってくるようになった。 この会社はその時期に生産移管したんだろう。 もともと小さな部品を作っているメーカーだから、業界関係者や顧客以外その存在をほとんど知らない。 それでも、その会社だけで数百人の雇用が、80年代後半から90年代にかけて失われたということだ。 これがグローバル化のインパクトだったのか、と初めて実例を見て思った。 こういう中小企業が山のようにあるんだろうなあ。 たくさんの製造業の雇用が失われ、雇用者はサービス業に転じたんだろう。 1992年に製造業の就業者は1569万人でピークを迎え、2010年には1049万人になっている。 18年間で500万人程度減った。 その原因の一つがこの会社のような状況だ。 海外に生産移管できただけ、企業の体力があったということだから、このケースはまだマシだろう。 こういう歴史を辿って、日本の今の就業構造がある。 大変だ。 |
![]() |