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2014.03.05 Wednesday
2233歳
音だけのドラマは、昔はラジオドラマと呼ばれていたが、今はオーディオドラマという。
音しか情報がないので、セリフや効果音などの工夫がいる。 今はNHKのFMで土曜日にFMシアターという番組をやっている。 これをパソコンで録音しているのだが、何度聞いてもいい番組というのはめったにない。 でも、こないだやっていた芸術祭大賞を受賞した「2233歳」という番組はよかった。 アニメ、サザエさんの波平役の故永井一郎が出ていた。 アカデミー賞でいうと、助演男優賞というところか。 ヒサナガという自称2233歳のおじいさん。見たところ90歳だが、2233歳だけあって、戦争の事や江戸時代、平安時代、大和時代、弥生時代などの話をする。 主役はちょっと不器用な25歳の娘。父母と妹は先生の先生一家だ。自分だけがなかなか居所が定まらず、3つ目の職場で、今は病院の介護職。 この二人が妙に馬が合って、話をするようになる。 そして主人公はヒサナガさんの話を聞くうちに、自分に自信を持ち、仕事のやり方を覚え、いつしか職場に慣れて自立していくというストーリー。 最初に主人公がヒサナガさんにかけた言葉が、「ずいぶん長生きですね。それじゃ想い出がたくさんあるでしょう」という言葉。 この言葉で二人は仲良くなった。 普通の人なら、「そんなバカな」というところだが、2233歳という年齢をとりあえず受け入れ、ヒサナガさんの話を興味深く聞いたことがよかったのだ。 ヒサナガさんの話し相手を務めることで、主人公は成長する。 そしてヒサナガさんの最期を看取り、ドラマは終わる。 さすが芸術祭大賞を受賞しただけのことはある。 いいドラマだった。 こういうシナリオを書いて、それがドラマになったら楽しいだろうと思う。 しかし、この数ヶ月録音して聞いているが、これはよかった、というのはこの1本だけ。 難しいものでもある。 絵がない分だけ、ストーリーの比重が大きくなる。 想像力に訴えるような台詞回しも必要だろう。 何でも難しいが、オーディオドラマも難しい。 |
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