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2010.02.14 Sunday
そしてコミュニケーション力しかなくなった
ぼくらが会社に入ったころ、無愛想な人がけっこういた。
色々な人がいたのだが、スペシャリストに無愛想な人が多かったのかもしれない。 図面を描く人や実験データーを整理する人、機械の強度計算が得意な人、翻訳や特許の専門家…。 そういえば、昔は人事に電話して福利厚生のことを聞いたら、愛想が悪かった事を覚えている。 後日、それは派遣の専門家になったが…。 その人たちは得意分野があるから、無愛想でもやっていけたのか、それとも元もと無愛想だったのかはわからない。 考えたら昔はそういう人が多かった。 人事で給与計算する人は、そろばんや電卓が早く打てる人だったし、経理では貸し方や借り方がわかり、計算間違いをしない人だった。 福利厚生の人はそういう法律に詳しく、年金の計算などもすぐにできただろう。 配達する人は、まじめにクルマを運転して時間通りに届ければよかった。 窓口で和文タイプをうつ人は、広い盤の上をすばやく動かして、キーをたたいていた。 昨日も書いたが、もちろんレジは早い人でないと打てず、早いことが優先で愛想は二の次だった。 無口でも、そういうことがちゃんとできれば、仕事があった。 勤勉という言葉がある。 それは、そういう仕事をちゃんと間違いなくこなす、という意味だろう。 昔の仕事はおしなべて勤勉さが求められるものが多かった。 勤勉、まじめが美徳の第一だったと思う。 しかし、いろんな事が変わってきた。 パソコン、インターネット、IT化。 それが仕事を変えてしまった。 伝票は電子化され、起票したら後はコンピューターで処理される。 経理の仕分けなどは、会計ソフトがやってしまう。 もちろん、計算などする必要もない。 全てのそういう計算が、システムの導入で済んでしまう。 和文タイプなど使わない。全てワープロだ。 納税者番号ができたら、その番号を読み取るだけで名前を入れる必要などないだろう。 ドライバーは端末を持ち、セールスドライバーになった。 レジはバーコードを読ませるだけだ。 勤勉という価値はどこかにいってしまった。 勤勉であることはそれほど評価されない。 それは無口にもつながるからだ。 人間の色々な能力のうち、まじめに何かをする、という能力はITが取って代わった。 今は働く時に何を重視されるか? もうコミュニケーション能力しか残っていないのだ。 大多数の職業では、それ以外の能力は求められない。 それがIT化をすすめてきた結果なのだ。 どんどん住みにくい世の中になっていくぞ…。 |
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