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2008.03.29 Saturday
題名
印象に残る題名の本がある。
何となく、その時の自分の気持ちあらわしているような本だ。 必ずしも小説の内容と一致しているワケではないが…。 「青春の蹉跌」「僕たちの失敗」「見るまえに跳べ」「されど われらが日々−」「翔ぶが如く」「書を捨てよ、町へ出よう」などの題名が、本の内容とは関係なく、印象に残っている。 「青春」という言葉は、70年代の終わりくらいまではよく聞いた。 今も若い人は使うんだろうが、あのころよりもメジャーな言葉ではなくなったような気がするが、気のせいだろうか…。 「僕たち」という言葉もあまり聞かないような気がする。 あのころは、本の背表紙に「僕たち」と書かれていることが新鮮だった。 「見るまえに跳べ」は読んでいないが、あのころの若者に対するメッセージのような気がする。 今はどちらかというと、ちゃんと見てから跳べ、という感じかな。 「されど…」はこの文語調がいい。 「そうではあっても」や「それでも」では格好がつかない。「されど」われらが日々なのだ。 たかが題名、されど題名…ということだろう。 「翔ぶ」というのは、それまであまり見なかった文字だ。 このころから目につくようになって、今では名前でよく見る。 「飛ぶ」や「跳ぶ」よりも「翔ぶ」の方が、大空をかけるという感じがする。 「書を捨てよ…」も文語調だ。 これも、「書を捨てよう」では格好がつかない。 こうして見てみると、文語調の題名の本が意外に印象に残っているのか…。 そういえば、前に「夏は来ぬ」とか、ここにも書いた。 ここで挙げたものは、別に古文というほどのものでもないし、見ればわかる程度の文語調だから、これからも残っていくのだろうが、日本語の文語体はどんどん廃れていっている。 「天気晴朗なれども波高し」「仰げば尊し我が師の恩」「うさぎ追いし彼の山」「遠き山に日は落ちて星は空を散りばめぬ 今日のわざをなしおえて 心かろく安らえば 風は涼しこの夕べ いざや楽しき まどいせん」「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ」… 後半は昔の唱歌になってしまった…。 いい日本語だと思う。 「名前も知らない遠くの島から」というより、「名も知らぬ遠き島より」の方が美しく感じる。 短くて、すっきりしていて、いさぎよい。 言葉は移り変わってゆくものだが、文語体がなくなっていくのは残念だ。 本の題名で話を始めたのに、話が変わってしまった。すみません。 |
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