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2021.10.30 Saturday
味の素と半導体
味の素という会社、もっぱら食品メーカーかと思っていたが、そうではない。
記事によると、今のゲーム機が品薄なのは味の素社のせいだ、という噂は本当らしい。 味の素が作っているのは、半導体のパッケージに欠かせない、層間絶縁材という商品。 実際には味の素ファインテクノ、という会社で作っている。 それが足りないから、新型ゲーム機が作れない、という噂になったらしい。 今のCPUは何層にもトランジスタが積み重なっているのだが、その層の間にあって、絶縁するのが、層間絶縁材の役割らしい。 これには味の素が得意なアミノ酸のノウハウが活かされている。 もともとは味の素のもとになるグルタミン酸ソーダを作るときに、不要な中間材が出る。 それを利用して作ったのが層間絶縁材。 これ以外にも難燃剤などが中間材から実用化されている。 90年代後半からパソコン市場に目をつけ、絶縁体を従来使われていたインキから、フィルムに変更することでいろんな不具合点を解消し、使えるようになったという歴史。 後発でありながら、従来の素材メーカーにできないことを、自社のコア技術を使って実現したということだろう。 今では高機能CPU向けには世界中のCPUメーカーに供給し、100%のシェアだという。 同時に、半導体メーカーにアプローチして、製造プロセスを含めた提案や細かな技術サポートをすることによって、競合他社が容易に参入できないようにしてしまった。 今やデファクトスタンダードだという。 世界のCPUの重要部品になっているということだ。 これもきっと90年代に日本がまだ半導体で大国だったころ、半導体の技術者がたくさんいたからできたことだろうと思う。 そうでなければ、半導体メーカーと協業といっても、今なら台湾などに行かないといけないと思う。 その当時は、日本がまだ高度な技術を持っていたころだ。 やはりバブルの前に地道にやっていたからこそ、実現したことだろう。 半導体については、まだまだその周辺技術の強みがある。 だからこそ、それらを使って成長しないといけない。 成長せずに分配だけやってしまうと、かろうじて日本に残っていた技術が海外に出て行ってしまう。 電気代だって同じこと。 脱炭素で原発をやめ、石炭火力をやめてしまうと、電気代はどんどん高くなり、再エネ中心になると停電が頻発するだろう。 そんな国に技術は育たない。 早く気がついてほしいものだ。 |
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