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2015.01.27 Tuesday
国立社会保障・人口問題研究所所長の意見
国立社会保障・人口問題研究所の所長、森田氏の記事があった。
それによると、社会保障費の総額が約120兆円。 そのうち半分の60兆円が年金の支出。1/3の40兆円が医療費、残り1/6の20兆円が介護や児童手当などになっている。 長生きすると医療費が増え、介護費が増え、年金が増える。 高齢化というのは、昔よりも長生きできるようになった、ということだ。 ずーっと健康でいて、コロッと死ねればいいが、そういうわけにもいかない。 長く生きると、体調が悪くなり、介護が必要になる。 知らなかったが、1947年の男性の平均寿命は50歳だったらしい。 1960年で65歳。このへんで今の年金制度などの制度設計ができた。 今が80歳だから、それから15年長生きになったということだ。 少子化でなくても、そら、足らんようになるわなあ。 こないだの総選挙の時に、非正規雇用が増えたことが問題になっていたが、増えた非正規雇用の半分は団塊の世代の定年後再雇用だったらしい。 冷静に考えれば、そうだろうと思う。 若い世代は、一時期に比べると正社員が10万人増えたとのこと。 そもそも、若い年齢層は人口そのものが減少しているから、正規/非正規雇用の問題を絶対数で過去と比較することの意味は疑問だという。 しかし、地域差は大きくて、東京は求人が多い。 そうだろうなあ。 森田氏は地方創生にも有効策はないのではないか、という。 昔のように工場を誘致しても、工場で働く人が大幅に減っている。 それはそうだ。実際、ぼくが見た70年代の工場と、2000年代の工場では人の数が減った。 それなら観光で、ということになるが、これも景気の変動で大きく影響を受ける産業であり、それだけで、どこもかしこも観光というわけにはいかない。 さらに、地方にもいろいろな自治体がある。 人口が数千人で、高齢化率が5割以上の自治体もあれば、人口30万人で産業が発展している都市もあり、それらを同列では扱えないということだ。 今の地方創生の一番の問題は、自治体の再編にまで踏み込んでいない、ということ。 たしかに景気のいいことを言ってぶち上げているが、2040年にはたくさんの自治体が消える(住民サービスができなくなる)という本が出ているのに、その部分は避けている。 選挙で勝って、長期政権も可能なんだから、再編の話も出せばいいと思う。 本当に過疎が進んでいる小さな村の活性化は策がない。 そもそも人口自体が減っていくのに、すべての市町村を保っていくのは無理だという。 頑張ってなんとかなる問題と、なんともならない問題がある。その後者なんだろう。 人口そのものが減るんだから…。 そして、人口が増えない中で、どの地方都市を盛り上げていくかは国家の設計の問題だ、という。 どこが残って、どこが消えていくかという基準が決まっていない。 意欲だけではどうにもならない。 このあたりは、さすが、人口問題研究所の所長らしい発言。 実際、98年ごろに人口トレンドを見て、行政サービスを保てない市町村が出てくるのはある程度わかっていたので、合併してサービスを維持しましょうという提案をしたのに、猛反発を受けたらしい。 でも、今は小さな自治体では、災害対応もできなくなってきているというのが現実。 人口問題というのは、今からがんばっても、今を変えることができない。 移民でも入れない限り、これから先しか変えることができないのだ。 今の20歳を増やすことはもうできない。 当たり前だが、これがみんなわからない。 人口ピラミッドはあとから追加で増やすことはできないからだ。 だから、少子化を止めるために子育て世代に補助をしようとしている。 でも、高齢者が多くて、年金や医療でお金がない。 選挙は、生まれていない子供は参加できないからなあ。 年寄りが、それらの子供のことを考えればいいのだが、自分たちのことしか考えない人が多いのも事実。 ここは高度な政治判断があってもいいと思うのだが…。 まことに正論だと思った。 数字をつかんでいる人は強い。 でも、ぼくは方丈記のファンだから、朽ち果てるようになくなっていく、というのもありだと思う。 日本には、そういう伝統?もあるし、またそんなに優秀な政治家は出てこないからだ。 ゆく川の流れは絶えずして… |
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