考えたこと2

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入試の数学
大学に関係した仕事を初めて20年経つ。
就職支援の仕事を初めてからは17年目だが、17年前に入学生の基礎学力の低さに驚いた。
いったい、義務教育で何をやっていたのかと思った。

その後教職科目を取って、教員採用試験を受けたいという学生の相談にも乗った。
初等教育がやりたいということで、通信制の課程とダブルスクールでやっていた学生だが、採用試験の問題を見せると2次関数のグラフを見て驚いたという話もあった。
小学校の算数がわかれば、教えられると思っていたのだ。

そんな小学校の先生が増えたのか、ぼくが勤めていた大学では、中学高校の6年間の数学の授業がほとんど理解できず、単位分数の「1」と自然数の「1」の違いもわからない(つまり、割合の概念がわかっていない)学生がたくさんいた。

もちろん、義務教育が崩壊しているというのはあると思うが、当の大学も罪が重い。
90年代に志願者を増やそうとして、文系の学部の一部が入試の科目から数学を外したのだ。
その効果は大きく、数学を外すと志願者が増えた。
それを見た他の文系私立大学はみんな右へ倣えで数学を外したのだ。

いかに私立大学というところが、志が低く、定員を埋めることを最優先で考えているか、よくわかるだろう。

大学入試がそうなると、高校の勉強でも私立文系コースの数学は高1で終わる。
だから、日本人の数に対するリテラシーはかなり下がったのだと思う。
入試で数学のない教育学部を出た先生が教えることになると、よけいに状況はひどくなる。
教えるほうがわかっていないのだから、どうしようもない。

だから、算数や数学は手順を覚えるものになった。
速度の問題は「はじき」という有名な絵を書いてやることになる。
速さ、時間、距離という絵を書いて、それに数字を当てはめていく。
速さは単位時間に進む距離だ、ということがわかれば「はじき」など必要ないのだが、それを理解しない先生が増えたのだろう。

割合は世の中に出ても、大変重要な概念だが、それもわからない。
%や歩合の概念がわからないから、いろんな間違いが起こる。

割合の定義は「「もとにする量(大きさ)を1とみたとき、比べられる量(大きさ)がどれだけにあたるかを表した数を割合という。」ことになるのだが、「〜の」と書いてあったら、それが元にする量だ、というふうに言葉遣いで教えるのだ。
例えば、4センチは8センチの何%か?という問題なら、「の」をみつけて、8センチが元の量だということになる。
だから、4センチは8センチに対してとか聞かれると、「の」がないから、もうわからない。

だから、日本人が数に弱くなったのは、私立大学のせいでもある。
それを止めなかった文科省も同罪だが…。




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