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2022.02.25 Friday
私大改革その後
日大の理事長の問題などに端を発した私立大学のガバナンス改革だが、やはり文科省の特別委員会が折衷案を出した。
折衷案というより、大幅に後退した案だと思う。 まあ、所詮私学なのだから経営の自由はある程度尊重すべきなのだろう。 外部の評議会の権限を強化して、学校の内部だけでいろんなことが決まるのはやめよう、という案だったが、その案は大幅に後退した。 評議員会を最高議決機関にするのはやめて、重要事項(合併や解散など)については承認券を付与するということだ。 合併や解散などが起こるということは、明らかに経営の失敗だから、その時はもう理事会など機能していないだろう。 日大の問題は、理事長が学校を長年私物化していて、やりたい放題だったことに対する改善案だから、理事会の上部機関を作るしかない。 そういう人物が放置されるということが問題だ。 だから、当初の案が出された。 ぼくが勤めていた学校法人の理事長も、お世辞にも大学経営のことを知っているとは思えない人物だった。 元が中高短大の学校法人だったから、それも仕方ない面もある。 しかし、全入時代を迎えて、これからの大学がどうあるべきかなど、おそらく聞いてもはかばかしい答えは出そうにない。 大学がほとんどの利益を出している法人だったが、理事会の構成は中高がメイン。 なんだかよくわからない理事会だった。 ぼくらから見れば、理事長というのは名誉職という感じだった。 実際は最高経営責任者という位置づけだが…。 オリックスの宮内チェアマンの経営者ブログで、「なぜガバナンスが必要なのか 次第改革への提言」という記事があった。 この人は以前から私大改革について意見を言っていた。 この人は、実際にいくつかの大学の理事や、評議員をしている。 記事の中で彼はこう書いている。 「改革をやろうとすれば既得権益側が猛反発するのは世の常ですが、反発を受けて文科省が妥協案に傾いているのは残念でなりません。いま一度、ガバナンス改革がなぜ必要なのか説いていきたいと思います。」 「一連のやりとりを見ていて、私はコーポレートガバナンス(企業統治)改革の議論のときとよく似ていると思いました。約20年前に始まった企業統治改革では、社外取締役を起用して執行役取締役の選解任権を持たせようとしたところ「社内の事情をよく知らない人間だけに、チェック機能を任せられない」といった反論が上がりました。その後、企業統治改革は着実に広がり、日本企業の競争力向上に少なからず貢献しつつあったのは周知の通りです。私大は企業が20年前に始めた改革に、まだ着手さえできていないのかと残念の極みです。」 「大学の設立目的は言うまでもなく、学生を育てることです。今の私大はその目的を達成するための体制になっているでしょうか。評議員会はあくまでも意見を述べるだけの諮問機関にすぎず、十分な監督機能を持っていません。評議員が100人もいて、もはや卒業生の名誉職となっている私大もあります。学校法人ガバナンス改革会議はこの評議会の機能を強化して、一般的な組織で必要なガバナンス体制を私大にも整えようと提案しており、まさに理にかなっていると言えるでしょう。」 まあ、おそらく日本の大学は世界から取り残され、周回遅れのままいきたいのだろう。 文科省も結局は天下り先を確保したいから、放置するのだろう。 大学の自治というが、自治には責任が伴い、それを果たしているかのチェック機能が必要なのだ。 非営利であって、税金が投入されているからこそ、それが必要なのが私立大学の経営陣にはわからない。 困ったものだと思う。 |
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