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2022.02.12 Saturday
実家じまい
母は老人ホームに入り、毎月の支払いが足が出る状態。
また、実家に住みたいという関係者もおらず、仕方なく実家をしまうことにした。 不動産をやっていた遠い親戚に不動産屋を紹介してもらって、転売することになる。 もちろん、母の了承がなければ売れないから、それは司法書士に確認してもらうことになる。 ここ数週間、週末に行って必要なものを探し、持って帰るという繰り返し。 結局、本当に必要なものはもう持って帰った。 できれば最後に認知の母を連れて行って、40数年過ごした家の最後の姿を見せたかったが、コロナ禍の影響でできるかどうかわからない。 元々、母の父親が戦後に買った土地だったらしい。 周りに何もなく、田んぼばかりの所だったと母から聞いた。 昭和38年に家を建てて、そこに移り住んだ。 ぼくが小学校1年の時だ。 移り住んだときは、前の道も未舗装だった。 それまでは近所の祖父母の家の隣に住んでいた。 1キロと離れていない近所に引っ越した。 引っ越してすぐに祖父は亡くなった。 その家には6歳から19歳まで住んだ。 たった13年。 ぼくは今年65歳になるから、ちょうど5分の1だ。 でも、思い出の数から行くと、半分くらいにはなる。 小学校から高校卒業、大学1年の途中まで。 そこからは下宿した。 大学を卒業してから寮に入り、それからちょっとだけ実家暮らしをしたが、すぐ結婚して家を出た。 だから、結局13年しか住んでいない。 それでも、節目節目には実家があった。 父が生きている頃は正月には帰ったし、月に何度かは実家に行っていた。 もちろん孫ができてからはよく帰った。 父が亡くなったときは長男は制服姿だった。 いつしかその孫も下宿し、卒業して東京に行ってしまった。 母が一人暮らしで、10年ほど住んだ。 この時に、心不全や脳梗塞をやって入院した。 退院後は坂の上で買い物ができず、最後の方は生協の宅配が頼りだった。 母は自らサービス付き高齢者向け住宅を見つけ、そこに住むことにした。 そこで大腿骨頭骨折をして、入院し、認知が進んだ。 何度か歩行器で転んで、また反対側の大腿骨頭骨折をして入院し、今の老人ホームに移った。 ぼくはずっと母を見てきたが、やっぱりコロナで面会できなかった入院期間がうらめしい。 あれで認知症がどんどん進んだのだと思う。 先週末、実家に行き、結局母の本をたくさん持って帰った。 谷崎潤一郎の源氏物語の1万円ほどする本は、こないだ聞いたら覚えていた。 大阪まで買いに行ったという。 広辞苑以上の厚みがある。 母があまり出歩けなくなった頃の楽しみだった読書。 海外と国内のミステリ、時代小説など。 ぼくも何年か後、暇な時間ができる。 その時のために、母が長い時間を過ごした本を、いつか読みたい。 今の本より、昔の本のほうがいいのだ。 そして、長いことありがとう、と言って帰った。 |
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