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2017.11.18 Saturday
AIと雇用
日経でここ数日「AIの雇用への影響を考える」という特集をやっていた。
そのまとめを読むと、日本のAI活用への方針やこれからの問題点が出ている。 調査結果では、今のところルーチンワークの事務職を削減する方向で、技術を導入しつつあるらしい。 2000年代のパソコン化で一番減ったのは、転記業務や単なる計算業務だったから、その延長上だろう。 これまでは単なる作業の置き換えだったが、そこにある程度の判断業務が入っても、AIが自動でやってくれる、ということだ。 さらに、センサーが発達して、AIにいろんなものが見え、判断できるようになったことで、目視検査みたいな仕事も自動化できるようになってくるだろう。 顔や表情を識別できるようになったことで、サービス業の接客なども視野に入ってきたのではないか。 しかし、課題もたくさん上がっている。人材の養成だ。 「アメリカにはデーターサイエンティストを養成する修士課程がある大学が70を超え、インターンシップに力を入れたり、社会人向けのオンライン授業を充実させたり、大学ごとに特色がある。 グーグルなどの先進企業で長期間、実践的なインターンシップを経験できる大学もある。 日本の大学が今から養成コースを作っても、到底追いつけそうにない。」 ということらしい。 確かにデーターサイエンティスト養成の大学院など、聞いたことがない。 許認可制度が壁になってすぐには新しい学部を作れないのか、それともやっている人がいないのか。 民間に研究者や実践者はいても、その人たちを大学に入れて教育しよう、というのは難しい。 日本の大学では、実務家教員というのはいるが、あくまでも少数だ。 データーサイエンティストのように、学問になっていない分野(定義ができていない新しいもの)は、社会に必要とされていてもなかなか対応できない。 教授会の壁もあるんだろう。 少子化の時代、新しいものを作ろうとすると、既存のものを減らさないといけない。 減らすということは、既得権を取り上げるということだ。 そこに反対の動きが出てくる。 高度成長期なら、人口も増えていたし、新しいものを作るときには今までに加えるということでよかった。 今の年寄りはそういう時代しか知らない。 だから、何かを切り捨てて、新しいものを作ることが難しい。 「切り捨てる」ということがなかなかできない。 それに対する抵抗勢力もある。 ぼくらが大学で新しい学部を作った時も、本当なら今までの先生のうち半分以上は要らなかった。 それでも、「教授の首を切る」ということができず、泣く泣く既存のメンバーに数人の先生を付け加えることで対応した。 既存の先生方には「こういうことをやってほしい」とお願いしたが、結局は看板だけかけかえて、授業内容はほとんど変わらないという状態だった。 数十年にわたってやってきたことは、なかなか変えられない。 外見だけ変えて、あたかも中身を新しくしたように見せたということだ。 そんな状態だから、少子化で大学自体の拡大は望めない今、新しい分野の人材の養成課程を作るのは難しい。 でも、そんなことは言っていられない。 この分野で後れを取ることは、日本の技術や経済が後れを取るということだからだ。 文科省の役人は、自分たちの天下り先の確保しか興味がないように見える。 大学が潰れずに、国が潰れるということになってもいいのだろうか。 大学という形でなくても構わない。 でも、養成機関を作らないと、人材は輩出できない。 これは大問題だ。 |
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