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2016.12.16 Friday
総務課が重要?
会社勤めから学校法人に代わって驚いたことはたくさんあるが、その中の一つ。
総務課が重要なポジションだ、ということを聞いた。 会社の時には総務というとなんかみんなの事をやっている、という程度の認識で、そもそも何をやっているのかもはっきりわからず、大した部署ではないと思っていた。 実際、そんなに人もいなかったし、そんな重要な部署ではなかったと思う。 25年間の会社暮らしで、総務部と話をした覚えがない。 やっぱり会社というと、販売や生産に関わる直接部門だ。 文系なら営業、理系なら技術、製造、品質保証というところ。 まあ、企画や経理というところも場合によっては寄与があるが…。 それ以外の部署は、儲けにあまり寄与していない。 それが普通の会社員の認識だと思う。 大学というところは教育を商品として売っている。 どこのホームページを見ても、ウチの大学はどんな教育ができる、その結果どんなふうになれる、みたいな宣伝が多い。 だからといって、カリキュラムの詳細を説明しているわけでもなく、どういう科目に力を入れているかとか、どんな人材育成を重視しているかとか、そういうところは少ない。 あくまでイメージだ。 教育というのは、煎じ詰めればどんな先生がいるか、ということだ。 でも、先生はいつ変わるかわからないし、それを宣伝はできない。 だから、トータルでイメージを売る。 今は学生を出して、コメントさせるというのが多い。 つまり、商品を簡単に変えることができないから、広報戦略は大事になるがそれはイメージだけだ。 事実、入試課の仕事の大きな部分は広報をどうするか、ということになる。 しかし、それも突飛なことはできないから、毎年ちょっと目先を変える程度だ。 おまけに大学は偏差値で序列化されているから、いくら宣伝してもそんなに変わらない。 それよりは地道に高校訪問して、受験生を送ってもらう方が確実だ。 要は商品を売る上で、大きな変更や工夫の余地が少ない。 画期的な新製品など生まれようがないのだ。 そうなると、全体の調整業務をやる部署、予算編成にかかわる部署が大事になるから、総務が大事、ということになる。 それがすぐには分からなかったが、だんだんと理解した。 民間企業とだいぶ違うんだなあということだ。 おまけに学校というところは、前例を重視する。 何か説明すると、それは過去にやっているのかという質問が来る。 やってません、というと、それは慎重にしろという。 ほとんどやめるということだ。 また、他の大学でやってます、というとそれなら考えよう、ということになる。 要は自分のところが最初になると、失敗した時の弁解ができないからやめようという感じだ。 前例があったり、他学でやっていたりすると、それがあるからやってみたけどダメだったと言える。 だからどうなんだ、ということだが…。 ぼくは総務部が重要、というような組織はロクな組織ではないと25年間で刷り込まれた。 肌が合わないということだ。 もちろん、ずっと大学や教育業界で過ごしてきた人は、それしか知らないから何も疑問に思わない。 ここにとてつもなく深い溝がある。 それを超えるのは難しい。 |
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