考えたこと2

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途上国支援
今日は途上国の支援をやりたい、という学生が相談に来た。
小学生の時に、途上国の状況を伝えるビデオを見て、彼らの貧困を救いたいとその時から思っている。

その志を持って、中学、高校に進み、国際貢献ができる学部を探して受験、失敗して浪人し、もう一度第一志望には行けず、今の大学に入る。
大学に入ってからも、自学部だけでなく、途上国支援に関係のある他学部の授業は、単位などなくても受講しに行き、学ぶ気さえあれば大学の名前にこだわらなくてもいいのだと悟る。
実際にアフリカに行き、現地の悲惨さも見てきた。

チームに日本人は一人だけだったらしく、現地の水で歯磨きしてしまってお腹をこわしたり、いろいろ苦労はあったという。
行った先では中国人の存在が大きく、東洋人は中国人だと思われたりして、日本の存在感が薄いこともわかった。
でも、現地の人から日本の技術を期待されることもあり、自分がまだ学生であり何もできないという無力感も感じたらしい。

そこで、NGOやNPOではなく、自分にスキルをつけるために企業に入って頑張ろう、ということで就活をしている。
ここがエライところだ。
ぼくも、新卒でNGOやNPOに行くのはどうかと思う。
仕事をして、自分に価値をつけないと、行っても仕事ができないからだ。
その判断は正しい。

大学にはよく青年海外協力隊の話をしたい、という依頼が来るのだが、大学生が行ってもまともな仕事はできない。
日本で仕事をしたこともない学生が、いきなり行くことに無理がある。
単なる海外での仕事経験だ。
それもあまりスキルのつくようない仕事ではない。
結局青年たちの夢を悪用しているようにしか思えないのだ。

その学生は、そういうことに気づいて、企業に入ってスキルを付けようと思った。
しかし、残念ながら志望理由に「途上国の支援をしたいから」などと書いては通らない。
そういう仕事がしたいのなら、外務省かどこかに行ってはどうですか?と聞かれるだけだ。
企業は利益を上げてなんぼのものという基本認識が足りない。
衣食足って礼節を知る、ということばがあるが、まことにその通り。
儲かるからこそ、アフリカで商売をするのだ。

その商売が結果的にWin-Winになる、という結果をもたらす。
そういうことなのだ。

この話を深めていくと、じゃあ資本主義とは何なのかとか、金儲けの意味は何なのかとかいう問題に突き当たる。
学生が持っている「途上国の貧困を救いたい」という気持ちは大事だし、否定もできない。

しかしなあ。
貧困を救うのには金が要るし、その金は天から降ってくるわけではないのだ。
ぼくらは資本主義の世界に生きているのだから。

それ以上考えるのはやめよう、ということになって面談は終わった。


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