考えたこと2

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昭和の香り
車の中で弘田三枝子の歌を聴いていたら、子どもが昭和の香りがするという。
それはどういう意味か?と聞くと、昭和の歌謡曲…という答え。

Vacationとか、Sweet Sixteenとか、砂に消えた涙とか。

ミスターチルドレンと比べると、歌詞に重みがないらしい。

VACATION楽しいな…たしかに楽しいだけの歌だ。
そんな時代だった。
昭和37年の発売。

日本は豊かになる。
今日より明日が、明日より明後日が豊かだ…と思っていた。
何度も書いたが、今ふり返ってみると、いい時代だったと思う。

今はミスターチルドレンが重い歌を歌う。

 黄昏の街を背に
 抱き合えたあの頃が 胸をかすめる
 軽はずみな言葉が 時に人を傷つけた
 そして君は居ないよ

 窓に反射する 哀れな自分が
 愛しくもある この頃では
 Ah 僕は僕のままで ゆずれぬ夢を抱えて
 どこまでも歩き続けて行くよ
 いいだろう? mr.myself

今の若者の閉塞感が歌われているのか。

 知らぬ間に忘れてた笑顔など見せて…

笑顔が当たり前だったあの頃。

アメリカも日本もいい時代だった。

昭和を知っているぼくらは幸せだ。

| | 考えたこと | 23:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
桜桃忌 その2
去年、たしか太宰治のイベントを桜桃忌の日に書いた…と思っていたら、今年が太宰生誕100年でたくさんの人が訪れたとのこと。

おかしいなあ…と思って見直してみると、去年は60回忌だった。
死後60年ということになる。死んだのが39歳だったから、今年は生誕100年か。

芥川賞がとれず、審査員の一人にボロクソに書いた手紙があるかと思えば、翌年懇願する手紙を書いたりする。
借金の手紙もたくさん書いている。
青森の生家がが紹介されていたが、たいへん大きな家。何でも当時青森で3位の地主だった…とのこと。
でも、その親に勘当され、見返してやろうと思っていた。

来ている人にインタビューしていたが、太宰の魅力はそのプライドと、うらはらななさけないところにある、という。
また、今読んでも古くないとか、言葉が新鮮だとか…。
あっけらかん、と語っている。

たしかに、言葉は印象に残るものがある。
当時コピーライターという職業があれば、その道で食べていけたかもしれない。

でも、インタビューを受けていた、大学院で太宰治を研究している女性を見ていると、何か違うなあと思う。

太宰が死んでから生まれたぼくですら違和感を感じるのだ。

その時代はまだ日本が貧しかった。でも、戦争から立ち上がろうとするパワーがあったと思う。
その中で、あの退廃的な部分を持って、心中を2回もしたりする…、そんな人生であの小説を書いた。
もちろん私小説もあるが、本当の小説もある。
私小説はなさけない部分であり、本当の小説、特に短編はプライドというか、天才の部分だと思う。
でも、太宰治はそんなにあっけらかんと語られる作家ではないのだ。

もちろん、読者の数だけ読み方はある。
作品は作者を越えて一人歩きするものだ。
だから、大学院生がそう思うのはかまわない。

当時のぼくは、太宰治を語るときに、なぜか屈折した気持ちを味わったものだ。
そんな、息が詰まるような気持ちを伴わないと語れない。

そういう作家だと思う。

でも、太宰治が見直されるのはいいことだと思う。


| | 考えたこと | 00:41 | comments(0) | trackbacks(0) |