2005.06.04 Saturday
70年代と今
初めてシングル版のレコードを買ったのが中学の2年の時。
当時NHKでやっていたステージ101という音楽番組の中で、シングアウトというグループが歌っていた「涙をこえて」というタイトルだった。
ちょうど1970年だから、僕の音楽生活は70年代の始まりと同時だった。
実際には、中学1年の時に友達からカセットテープを貸してもらい、フォークソングを聴いたのが最初かもしれないが・・・。
ベトナム戦争をテーマにした反戦歌(佐良直美が歌っていた!)とか、岡林信康、高石ともやなどが入っていた。一緒に、トム・ドゥリーとか、グリーン・グリーンなんかも借りたかな。
ちょうどカセットが流行り始めたところだったと思う。
あの頃は、みんな洋楽も邦楽も聞いていた。ABCヤングリクエスト(深夜放送)のハガキでのリクエストでは、洋楽と邦楽が入りまじっていた。
ポール・モーリアの「恋は水色」なんかも好きだった。
森山良子はカレッジポップスのアイドルで、禁じられた恋なんかを歌っていた。ちょうど吉田拓郎がイメージの詩を歌い、広島フォーク村から出てきたところ。これは誰かに借りて聞いたような気がする。
自分で買ったLPレコードは、キャロル・キングのタペストリー、フィフス・ディメンションの2枚組(クリスマスの頃にCBSソニーがボーナスボックスとして出していたもの)、ガロ、かまやつひろしなど。
70年代は、ちょうどマルチトラックのレコーダーが出てきたところで、レコーディングというものが、みんなでせーの、で録るのではなく、まずリズムを録音し、ギターとキーボードを重ねて、最後にメインボーカル・・というようなやり方が一般的になったところだと思う。
・・というような思い出話をするのではなかった。
僕は70年代は音楽の黄金期だったと思っている。
長くなるので、何回かに分けて、それについて書いてみようと思う。
70年代は、音楽はレコード盤だった。CDやMDではなかったし、TSUTAYAのようなレンタル業者もいなかった。
だから、音楽は、なけなしのこづかいをはたいて買うものだった。
当時、30cmのLPレコードが1800円くらい。
1800円といえば、中学生にとっては大金だ。
一月に1枚買えるかどうか・・。買ったら、何度も聞いた。
コピー、ということでは、レコードをカセットに録音したりしたが、当時の技術では明らかにコピーした音はレコードの音とは全く違うものだった。
だから、いい音楽を聴きたい、ということは、レコードを買う、という事だった。それしかなかったし、レコードを持っているということは、ちょっと自慢できる事だったと思う。
好きなミュージシャンの音楽は、レコードを所有する、という形でしか自分のものにできなかった。
レコード盤は、完全なモノである。
きれいなジャケットの中に、半透明の薄い袋に入ったレコードがあり、それを指紋がつかないように取り出して、ターンテーブルの上に置き、レコード針をのせる一瞬の緊張は何ともいえない瞬間だった。
音楽と、モノを所有する、ということがつながっていた。
今や音楽はレンタルショップで借りるCDであったり、さらには、パソコンの中のデーターになってしまい、「所有」するものというより「使う」ものになったような気がする。
それが一体何をもたらしたのか、70年代と今はどう違うのか・・・。
それはモノからデーターへという変化だと思う。
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