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2013.02.05 Tuesday
ネコ
ウチの実家は父が動物嫌いだったので、ペットを飼ったことがあるといえば、手乗り文鳥だけだった。
小学校1年まで、祖母の家のすぐ隣に住んでいたが、祖母の家にはネコがいた。 トラ猫で、グレーと黒の模様。 名前は忘れた。 祖母はネコに寛容で、自由に外に行かせていた。 当時の家猫はそんな飼われ方だったのだろう。 時々帰ってこない時もあったと思う。 ご飯を食べていると、自分もほしい、とちゃぶ台に近づいてくる。 そういう時、祖母は容赦なく頭を叩いていた。 当時はキャットフードなどないから、ご飯のあまりに汁をかけて、鰹節をふりかけたものを食べていた。 がつがつとすごくおいしそうに食べていたから、これはすごい好物なのだと思っていた。 時々野生の顔で狩りをしていた。 一度スズメを捕まえるのを見たことがある。 低い姿勢で音もなく寄っていって、間合いを計って一気に飛びかかる。 あれはネコ科の動物の狩りの姿だった。 まるで虎のミニチュアだ。 ネコは飼い主に死ぬところを見せない、というが、たしかその通りだったと思う。 どこかに行ったまま帰らなかった。 ひょっとしたら、三味線の皮になったのかもしれない。 祖母は一時イヌも飼っていたが、あまりよく覚えていない。 雑種のイヌだったと思う。 そういえば、祖母はイヌにもネコと同じようなご飯を与えていたと思う。 昭和30年代のペットといえば、そんな感じだった。 スーパーにペット用品売り場などなかった。 動物病院など、どこにもなかった。 ブリーダーなどもいなかっただろうし、ペットのコンテストなど考えられなかった。 一度書いたと思うが、ネコはこたつの中が好きだった。 冬になるといつもこたつの中にいた。 ぼくがかまおうとすると、面倒くさそうな顔をした。 そういうネコの姿が好きだった。 イヌは人間の友だと思っているが、ネコは違う。 自分が上だと思っているのだろう。 そこがいい。 |
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