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2012.01.14 Saturday
忘却の法則
肝心なことはすぐ忘れ、忘れたいことは容易に忘れない。
池波正太郎の剣客商売という小説で、主人公がこんなことを言っていた。 人間はものや出来事を記憶し、原則的にはそれを覚えている。 しかし、それを忘れないと、憶えることができない。 忘れる、ということは完全になくなることではない。 頭のどこかに入れておくことを忘れる、という。 だから、一度憶えたことを何かの時に思い出す事がある。 ああ、これはあの時のあれと同じことか…、というようなことだ。 それが記憶のメカニズムだと思う。 肝心なことは、というのは憶えなくてはいけないことをだろう。 忘れたいこと、というのは強烈なエピソードがあって、忘れたくても、忘れられないことだ。 憶えなければいけない、と思っている間は覚えられないという気がする。 「憶えなければいけないということ」を忘れた頃に憶えられる。 そんな気がする。 忘れても、それは何かの拍子に思い出す。 だから、忘れることを気にしないことだ。 忘れてもかまわない。 忘れよう、と思うのもよくない。 結局そういうことを覚えているのだ。 結局、忘れたいとか、憶えたいとか、ある年齢になったら余計なことは考えないことだろう。 人間は何一つ忘れない、思い出さないだけだ、ということが忘却の法則だ。 |
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