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2011.01.06 Thursday
日々の非常口 アーサー・ビーナード 新潮文庫
アーサー・ビーナードというのは、アメリカの詩人である。
日本語で詩作をしたり、日本の詩を翻訳したりしているらしい。 その人が、達者な日本語で書いたエッセイ集。 日本人の妻をもち、家庭では日本語の会話をしているようだが、それにしてもこんなに日本語がうまくなるとは…。 1967年生まれで、1990年に来日したそうだから、現在43歳で、日本に来て20年になる。 文章といい、漢字といい、すごい。 日常で出会った事を書いている。 もちろん、アメリカ人の視点で日本のことを語る部分はあるが、 純粋に日本語で楽しめる。 こういう人が語学の達人になれるのだろう。 日本に来て、辞書と首っ引きでいろんなところを自転車で走り回る。 来日20年で、日本人としてもかなり上のレベルの使い手になった。 一つの言葉の意味を何度もチェックする。 「月極」というのが、駐車場の名前だと思い込み、「げっきょく」という会社は駐車場業界の大手だと勘違いする。 それが「月極め」という言葉を発見して、「つきぎめ」だとわかる。 そういう風にして、日本語をマスターしていく。 気の遠くなる作業だ。 しかし、日本人も小さい頃から、そういう経験をして日本語をマスターするのだろう。 母語と第二言語とは少し違うかもしれないが、単語については、同じことだ。 そういうことを抜きにしても、面白い本だった。 |
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