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2010.09.02 Thursday
人間模様
先々週から検査入院していた。
病院の大部屋にいると、いろんな人間模様がある。 ぼくのとなりのおじいさんは、目が開いているが、全盲だった。 おそらく、年をとってから、目を悪くしたのではないか。 色のことを言っていたから、先天的なものではない。 そのおじいさんは、前にもこの病院に入院していたことがあるらしく、看護婦さんの声で名前を当てていた。 外れたときは、誰々さんはまだおるか?と聞いて話をする。 きっと話を聞かされる看護婦さんは、忙しいので、次の用事をしたいのだろう。 それでも、お構いなしにおじいさんは話す。 以前入院していたときには、面白い話を聞かせてあげたという。 西宮のえべっさんはなぜ今のところにあるかという話。 最初に漁師の網に引っかかって、その家に祭られていた。 しかし、漁がピタッと止まったので、えべっさんをここにおいておくのが悪いのだろう、ということになり、もう一度釣った場所に戻しにいった。 戻すときに、えべっさんに、何か不満があったのかと聞くと、もっと多くの人に祭ってほしいという。 そこで、戻すのをやめて、灘に祭った。 そうすると、そこはいい水が出るようになり、宮水という酒の元になった。 そして、もう少し東に祭ってくれということになり、今の場所になったという話。 若い看護婦さんは、へー、そうだったんですかと相槌を打つ。 これこそ、ヒューマンスキルの見せ所。 明るい声で、いくら表情が見えないといっても、笑顔でいう。 数分間にわたって、その話を聞き、一段落したところで、「私、次のところで仕事があるので、失礼しますよ。また、聞かせてくださいね。」という。 これがすごい。 次のところがあるので、失礼します、で終わる人が多い。 でも、この若い看護婦さんは、「また、聞かせてくださいね」と言った。 さすが…、と横で聞いていて感心した。 これぞ人付き合いの極意といってもいいだろう。 いくら笑顔で愛想よく相槌を打っていても、それでは、失礼しますでは50点。 こういう勉強はどこでするのだろうか。 どこで覚えるのだろうか。 そういう教育は大切だと思う。 |
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