![]() |
2007.10.12 Friday
この世にないもの
ずっと前、この世にないものの存在を信じる人のことをリアリストというのだ、と書いてある本を読んだ。
それは、普通の考えとは違うことだったので印象に残っている。 普通はリアリストというと、現実的に考える人という意味で、この世にないものなど関係ないだろう…という気がする。 「この世にないもの」とは、人間の頭の中にしかないもの、という意味だ。 平和とか、愛とか、友情とか…そんな、手にとってさわることもできず、目で見ることもできないものだ。 自分が死んだ後の世界なども例としてあったように思う。 リアリストのリアルというのは、そういうものを「リアル」だと思えること、という定義だった。 それなら、ロマンチストではないか…と思ったが、もう10年以上も前にそう思ったことを覚えているのだから、よほど記憶に刻まれたんだろう。 例えば、「永遠の平和」というような言葉に実感を持てる人はリアリストだという。 リアリストは、現実主義者と訳され、現実にもとづいて物事を考え、処理するというのが通常の定義だから、そこには「この世にないもの」に関する考え方は入っていない。 さらに、現実主義の反対は理想主義だから、「この世にないもの」である「理想」にはもとづかないで、より実現できそうな手をうつのがリアリスト、というのが一般的な解釈になる。 でも、何が「リアル」なのか?と考えると、現実なんて、見方を変えればどうにでも見えるのだ。 結局、より実現できそうな「現実的な」手をうつためには、何か「この世にないもの」を信じていないといけない、ということなのかもしれない。 そうでなければ、何が「現実的」かすら、決めることができないのだろう。 やっぱり、「この世にないもの」は大事だと思う。 それが書いてあった本を思い出すことができないのは、残念だ。 |
![]() |