考えたこと2

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トヨタの悩み
トヨタが「定期昇給ゼロ」も起こり得る、という賃金制度の変更を決めた。
みんなで仕事をして、みんなで結果を出して、みんなで昇給するということがもう無理だということだ。
特に、自動車業界が置かれている状況を考えると、それもやむを得ないと思う。

MaaSとか、CASEとかいう業界用語だけでなく、カーボンゼロとかグリーンという世論も出てきた。
一番の問題は将来的にエンジンがなくなるかどうかということだ。
ピュアEV(モーターだけで走る車)は部品点数が3万点から1万点に減るという。
今の日本の製造業を支えているのは自動車であり、ぶっちゃけて言えばそこの雇用が大幅に減る。

トヨタの社長が年末に政府の電動化方針に対して文句を言ったのも、そこがあるからだろう。
軽々しく「電動化」という言葉を使うなというメッセージ。
日本の強みである、長期雇用を前提とした信頼関係で、多くの部品をすり合わせて作るというシステムを残すかどうか、ということだ。

日本のメーカーは、ピュアEVを作る技術は持っていると思うが、それを阻んでいるのは一つは上に挙げた雇用の問題と、もう一つはバッテリーの値段だ。
そこに大きなブレイクスルーが起これば、否が応でも電動化に舵を切らないといけなくなる。
問題はいつそれが起こるのかということだ。

さらに、シェアリングエコノミーという壁もある。
自動車という資源を、みんなが持つ必要はないという考え方だ。
ネットが発達して、移動の価値が下がり、さらに街中に自動運転の車が走るようになれば、カーシェアの普及も大幅に進むだろう。

100年に一度の変革期というのは本当なのだ。

専門家から見ると、まだまだ定昇ゼロに対する取り組みが甘いと言われるが、トヨタがここまでの決断をせざるを得なかったのもよくわかる。

エンジンを残すためには、年功序列に基づいた長期の雇用を保証する必要があるのは間違いないのだろう。
しかし、それに頼っていては、ピュアEVや自動車のサービス産業化についていけない。
優秀な人材が取り込めないからだ。

どうやって日本の高度成長を支えてきた「年功序列で定年まで」、というシステムを壊していくのか。
向かう先はまさにアメリカ型の雇用ということになる。
社員の反発もあって、全部をアメリカ型にはできないと思う。

ではどこまでアメリカ型にするのか。

トヨタの悩みは深い。




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