考えたこと2

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ファカルティ・ディベロップメント
何度か書いたような気がしているのだが、ファカルティ・ディベロップメントで検索しても記事がない。
それを略したFDで検索しても、こないだの教職協働の記事だけだった。
というわけで、ファカルティ・ディベロップメントについて書こうと思う。

2004年に学校法人に転職して、しばらくしてみんながFDという言葉を使っているのに気がついた。
それは何ですか?と聞くと、「ファカルティ・ディベロップメントのことだ」という。
では、ファカルティ・ディベロップメントとは何ですか?と聞くと「教育改善のことだ」という答えが返ってきた。

何度か書いてきたように、初年次演習や基礎ゼミというような授業をやらなくてはいけなくなっている大学が主に対象となる言葉だ。
今や偏差値50以上の私学でも、半分近くは内部進学や推薦、AOで入ってきているから対象になる。
有り体に言えば、昔の大学生ではないレベルの学生がどんどん入ってくる大学で、入った学生をどう育てるか、ということだ。
それをちゃんとしようとすると、FDが必要になる。

今の先生方はアカデミックなキャリアをつけるために、研究者の道を歩んできた。
通ってきた道には、「教育」という側面はあまりない。
研究スキルはあっても(それすら危うい人もたくさんいるが)、教育の方法など全く勉強したこともない、という人たちだ。
もちろんレベル差はあって、出た大学がちゃんと教育や指導のスキルを身に着けないとダメ、という方針でやっているところを出た人は、まだマシだ。
研究一筋でやってきた人でも、研究メインの大学に入れば大丈夫。
そういう大学では、先生が研究している背中を見て、学生は学ぶ力を持っている。
たとえ反面教師であったとしても、学生の力が高ければ、学ぶことが出来るのだろう。

ところが、偏差値50以下とか、内部進学や推薦、AOでたくさん入ってくるような大学に来ると、ややこしい。
学生の多くは、従来考えられている大学生ではないのだ。
「最高学府」というような言葉とは無縁の世界。
まず高校までの基礎知識の量が違う。
私語が多く、先生の話を聞かない。
授業中はスマホをいじっている。
でも、単位が欲しいから授業には出席する。
経済的理由からバイトをしており、学校にいるのは授業の時間だけ。
だから、そういう学生に教える事は、教員が受けてきたようなやり方では無理だ。
そういう訓練を受けていないし、やり方もわからない。

だから、ファカルティ・ディベロップメントという言葉が出てきた。
そうしないと、教育ができないということだ。

授業評価アンケートというのも、FDの一つ。
学生の声を聞いて、授業のやり方を変えよう、ということだ。
こういうのは、ぼくらの時代にはあり得なかったもの。

授業公開というのもある。
他の人の授業を見て参考にしたり、指摘をしたりする。
こういうのは、参加を義務化しないと、ほとんど来ない。
FDの報告のためにやっている、ということになりがちだ。

事例の紹介というのもある。
どこの大学でも、FDに熱心な先生がいる。
そういう先生を呼んできて、講演を聞く。
これも義務化しないと、ほとんど聞きに来なかったりする。
来ても、それを参考にして、授業を変えるというような殊勝な教員はほとんどいないのが通例。

多くの下位の大学にはFD委員会というのがある。
いやいや学長や学部長がメンバーになっており、お茶を濁して1年か2年やって終わり。
持ち回りでやっているという感じだろう。

実際、2008年には文科省が大学設置基準でFDを義務化した。
その当時は、これでようやく大学もよくなる、とぼくは思っていた。
しかし、その程度のことで改善できるようなギャップではなかったのだ。

結局、下位の大学で、FDを本気でやるのなら、大学教員養成課程でも作って、大学生のレベルに応じた教授法を教えるとか、そんなことをしないとイケナイんだろう。
教員を入れ替えて、ちゃんと私語に対して対処し、厳格に成績をつけ、学生のケツを叩き、やる気にさせる、そんな熱血大学教師をたくさん育てないといけない。

それがぼくが10年間大学で過ごして得た結論。




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