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2019.11.03 Sunday
大学の非常勤講師2
前にも書いたが、ぼくのいた学校の古い職員の人が「非常勤講師は大学の恥部」と言っていた。
たしかに、待遇はかなりひどい。 そして、それに多くの大学が頼っているのが実態だ。 文系の私学なら、半分以上が非常勤の授業になるらしい。 今回調べてわかったのだが、専門学校の講師料は、経験に応じて変わるという。 専門的なキャリアを積んだ人なら、大学の非常勤講師の4コマ分の給料が1コマで稼げる。 エライ違いである。 まあ普通の仕事なら、キャリアを積めば給料が上がるのは当然だろう。 それだけの経験知がつくし、スキルも上がるはず。 それがどんな内容であろうと、「1コマいくら」の世界なのだ。 よくえらい先生が「もっと国は大学に補助金を」と言っているが、それは第一に非常勤の給料を上げるために使うべきだろう。 大学の非常勤講師の相場は90分授業で月給25000円という。 ちょっと上がったり、下がったりするが、それは学校の事情であって、その学校では一律だ。 ぼくが去年やった時も、そんなものだった。 一方、専任教員は教授になると年収1000万クラス。 勤めていた大学で、総務の担当が「バカバカしくなるから知らないほうがいい」と言っていたのもわかる。 専任なら4コマ程度は持たされるから、非常勤講師の月給でいうと10万。つまり年収120万というところ。 もちろん、専任は各種保険も込みだから、実質の差はもっと大きい。 よくこんな給料でやっていけるなあと思ったら、非常に苦しいらしい。 2009年のデーターだが、非常勤の組合に入っている人の平均掛け持ち学校数は3.1校。 平均年齢は45.3歳で、年収306万。 そのうち44%が250万円未満で、100万台もかなりいるとのこと。 男性だとまず結婚できないし、ローンを組むのも断られるという。 ぼくは非常勤の仕事をするのに、給料や条件のことを聞いたが、普通はそういう勤務条件の質問もできないという。 これは昔の名残で、非常勤講師は下働きの「やらせて頂く」徒弟制度の仕事らしい。 しかし、ぼくが学校法人で勤め始めた2004年当時でも、非常勤から講師になるということはなかった。 中には専任の教員でも非常勤の仕事をしている人がいたが、あれは他学の教員と仲良くなって、共同研究や働き口を回してもらおう、ということだったのか…。 まあ、専任の教員は大学の雑務(当然の仕事なのだが、多くの教員は雑務と思っている)や教授会への出席もあったりするから、授業だけではないが、この差は大きいのではないかと思う。 専任教員の仕事をざっと推定すると、授業:研究活動:大学の雑務:学部の義務=4:4:1:1というところか。 教育と研究が教員の仕事の中心だから、こんなものかと思う。 授業だけでも年収1000万とすると、年に400万円。 月に4コマで年収400万だとすると、月収30万ちょっとになる勘定。 まあ、それくらいもらえば、非常勤でも食える。 なかには、学生アンケートで「ベストティーチャー」に選ばれるたりする人もいるのだから。 本来なら、それくらい払うべきなんだろう。 働き方改革で「同一労働同一賃金」というなら、今の給料は変えないといけない。 大学の「専門家」が大学の働き方改革についてあまりコメントしないのも、そのせいかもしれない。 しかし、そうなると、多くの大学で科目が減って、非常勤の仕事は減るだろうなあ。 授業料を上げる大学も出てくるだろう。 まあ、それで大学が淘汰されるのなら、いいことだと思う。 ただ、いつまで経っても、アカデミックルートに乗りたい人がたくさんいるから、なかなかそうはならないのだが…。 |
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