考えたこと2

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あの頃のまま
ブレッド・アンド・バターの曲に、「あの頃のまま」というのがある。
ユーミンが作った曲だ。
学生みたいな生活を続けている、モラトリアムの「ぼく」と就職して社会に出た「君」を描いた曲。
歌詞を散文にすると、こんな感じ。

夕方の駅で見かけた君は、スーツ姿が板についていた。
ぼくはまだ気ままな暮らし。
学生時代のままだ。
「羨ましいやつだ」と君は笑った。
ネクタイを緩めて、寂しげな君は、馴染みに店で腰をすえて飲む。
そのころ、ぼくは日焼けした両足を投げ出して、サイモンとガーファンクルを久しぶりに聞く。
人生の節目を越えられず、卒業したくないぼく。
他愛ない夢なんか切り捨てた君。
人は幸せのカタチにこだわらずに生きていくものだ。
瞳をそらさないで、自分の道を生きていくのだ。

この曲は30代のころ、好きだった。
ユーミン世代の、ノンポリだが少し反体制で、社会に取り込まれるのはいやだ、という若者の思いを表している。
「いちご白書をもう一度」では男女だったが、こちらは男同士だ。

でも、年をとって、こないだ見方が変わったことに気づいた。
もうすぐ57歳。
若い頃は圧倒的に「ぼく」に感情移入していたが、この年になると「君」の気持ちがわかる。
このうたは「ぼく」の立場で書かれているが、「君」の立場で書くと、きっとこんなふうになる。

夕方の駅で見かけたあいつは、気ままな学生時代のようだ。
ぼくは会社勤め。
「羨ましいやつだ」と笑ってみたが、彼はどうやって生きていくつもりだろうか。
「羨ましい」とは思うが、何かそうでない部分もある。
ネクタイを緩め、馴染みの店で飲む。
学生時代のこと、会社のこと、社会のことを考える。
矛盾はいろいろあるが、それを飲み込んで生きていかないと仕方ない。それが人生だ。
あいつは今頃学生時代に流行ったサイモンとガーファンクルでも聞いているのだろうか。
夢は夢で置いておこう。そうするしかない。
それが人生なんだ。
あいつはあいつ。ぼくは自分の道を歩いていくしかない…。

そんな風な思いで「あの頃のまま」を聞くようになった。

年をとったら年をとったなりの見方や考え方が出てくる。
それは悪いことではない。
人はモラトリアムにケリをつけて、社会の中で生きていくしかないと思う。
それが人生だと今ならわかる。

だから、C’est la vie (これが人生さ)という言葉がある。

やっぱりフランス人はオトナかもしれない。



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