考えたこと2

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これでいいのか?
こないだ、読売新聞の夕刊を見て、びっくりした。

日本物理学会で、水を入れたボトルに、ワープロで「ありがとう」とか「ばかやろう」とか書いた紙を貼りつけて置いておいたら、「ばかやろう」と書いた紙を貼った水だけ、カルシウム濃度が変化した、という発表があったらしい。

日本笑い学会ではなくて、日本物理学会ですよ…。
WEBで調べたら、たしかに発表の題名が載っていた。

「言葉の持つ意識エネルギーが水の中の元素の核変換を引き起こし、別の元素に変えたためと考えられる」との発表者の弁。

ほんとなら、一大発見であろう。
ひょっとしたら、宇宙を作るのに、神の意志が働き、神の言葉のエネルギーでビッグバンが起きたのかもしれない。

しかし、会場から、何度やっても同じ結果になるのか?という質問に対し、再現実験はしていない、ということらしい。

発表したのは、九州大大学院工学研究院の人である。
税金を使ってやっているんですよね…。
あきれた話でしょう。

でも、こんな大胆な発表が日本物理学会にすっくり行く、というのがもっと驚くべき事だと思う。

ふつうなら、回りの人がチェックするだろう。
当然、日本物理学会ででたような質問が内部であって、ちょっと待て…ということになるハズだ。

この発表の内容よりも、それが日本物理学会まで行った、ということが問題なのだ。

どこにでも、おかしな人はいる。
でも、組織というものが機能しているなら、表には出ないはずだ。
組織が生きていれば、プライドがあり、組織の名誉を汚すようなことは、組織のメンバーが必死で止めるだろう。

この発表は、ニセ科学の横行、という問題であると同時に、九州大大学院が組織の体をなしていない、という事を問題提起している。
その方が問題としては大きいと思う。

昨今の科学・工学は一人の人間でできることはしれており、組織的なビジョンや実験などが必要なハズである。(そうでない分野もあるだろうが…)
今回のノーベル物理学賞は、宇宙衛星を打ち上げて観測することでしか得られない結果に対して与えられていて、そんなことは到底一人の人間のがんばりだけでは無理だと思う。
組織的に考え、協力し合う体制が必要であり、オカネも取ってこないといけないし、たくさんの人を説得しないといけないだろう。
観測の意義についての説明も必要だし、そのためには組織としての行動が必要だと思う。

そういうことが、九州大大学院工学研究院にはできないだろう…ということが大きな問題なのだ。
昨年度、52億円の科学研究費を使い、1200億の支出予算を持っている大学が、こんなことになっている。

エエかげんにしなさい…という漫才のつっこみでは済まないだろうなあ。



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