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2005.07.02 Saturday
おもちゃとテレビ
いつの頃からか、おもちゃを作っている会社が大きくなった。
調べてみると、日本玩具協会が出来たのが1967年だから、それまでは本当に小さいメーカーが地道におもちゃやプラモデルを作っていたのだろう。 輸出や輸入の統計も1980年〜1990年代からしか出てこなかった。 1970年代くらいから、おもちゃ産業は隆盛し、テレビゲームの登場などと相まって、どんどん大きくなったんだろう。 何でこんな事を書いているかというと、十数年前に長男と一緒に久しぶりに見た、子供向けのテレビ番組で驚いたからである。 昔のことばかり書いているようだが(やはり老化の始まりか・・・)、僕らが小学校の頃に見たアニメや実写の子供向けの番組で、おもちゃのメーカーがスポンサーになっていたものなどほとんどなかったと思う。 アトムは明治製菓で、マーブルチョコレートの中に入っているシールを集めるのが楽しみだったし、エイトマンは丸美屋のふりかけと結びついている。おなじみの「のりたま」だ。エイトマンふりかけもあったと思う。 鉄人28号はグリコだった。これは主題歌にも「グリコ、グリコ、グリコ」と3回連呼されていたので、印象に残っている。 手塚アニメは明治製菓が多かったと思う。悟空の大冒険も明治製菓だった。特製の如意棒がほしくて、お菓子を買って、応募券を集めて送った覚えがある。この手のものは当たったためしがない。あれは欲しかった。 ジャングル大帝はカラーのアニメで、当時カラーテレビが出始めた時だった。これはサンヨー電機がカラーテレビのコマーシャルを入れていたと思う。 定かではないが、魔法使いサリーは文具のメーカーだったか?誰か覚えてます? 宇宙少年ソランは森永製菓だったハズ。 おばけのQ太郎は不二家だったらしい。パーマンも不二家だった。不二家といえば、ポパイもそうだったのではないか。ペコちゃん、ポコちゃんが出てきていた。 というようなわけで、子供番組といえば、だいたいはお菓子の関係のスポンサーが多かったと思う。 そのころは、おもちゃのメーカーは、テレビのキャラクターをひっそりとプラモデルで作ったりしていたんだろう。精度も悪かったし、アニメに出てくるようなものをそのままプラモデルの金型にするのは技術的にも難しかったと思う。 このころのプラモデルは自動車や飛行機などの実在するものがまだまだ多かった。第二次大戦で活躍した零戦やユンカースなどという戦闘機もプラモ屋のショーウィンドーには並んでいた。(もちろん、プロペラ機です) NHKでやっていたサンダーバードはバンダイからたくさんプラモデルが出た。1号〜5号、秘密基地まで。ひととおり作った。そういえば、去年のリバイバルの映画は良かった!これはまた別途書く。 話がそれてばかりだが、十数年前に子供と一緒に1990年代の子供番組を見て驚いたのだ。 日曜日の朝7時くらいの枠でやっている、スーパー戦隊ものだ。ゴレンジャーに起源を発するものだろう。 一年目は、ほ〜、なるほど、という感じだった。 テレビ番組の中に出てくる変身装備や武器(ベルトや剣が多い)が、すぐにコマーシャルで流れて、子供が欲しくなるようになっている。おもちゃ売り場に行けば、ちゃんとテレビで出てきた時から売っている。 パターンは決まっていて、まずは変身のための道具、次に武器、大きめの武器(5人揃って使う)、一人ずつの乗り物、そして合体のロボットとなる。時によっては、2つめの合体ロボが出る。 そして、1年で終わり、1月の後半くらいから新しい(といってもパターンは同じ)番組が始まる。 ちゃんと、クリスマス・正月近辺に一番大きな合体のロボットが出るようになっているのだ。 2年目からは、これは番組ではなく、宣伝だとわかった。 通販こそしないが、あれは30分のおもちゃの宣伝番組と言ってもよいのではないか。 毎週新しいおもちゃが出てくるわけではないが、毎回ヒーローたちがそれらを使い、敵をやっつける。 おもちゃ売り場に行くと、同じものを売っている。 すごいシステムだ。 おもちゃメーカーがスポンサーになっていなければ、どのおもちゃをどのタイミングで作っていいかわからないし、放送されてから、ライセンスを取って、作るまでに時間がかかるだろうが、スポンサーになればそんな手間もいらない。 極端に言えば、おもちゃを作っておいてから、ストーリーを決めることすら可能だと思う。 よく分からないけど、放送倫理とかには引っかからないのだろうか。まあ、長年やっているのだから、法律には触れないのだろう。 ミニ四駆が流行ったときには、ミニ四駆のアニメをやっているし、ベーゴマが流行ったときには、ベーゴマのアニメを、カードゲームが流行ったときには、カードゲームのアニメをやっているのだ。 テレビゲームもセットになっている。人気のあるアニメはテレビゲームになるし、それはその番組の中でコマーシャルされる。 おもちゃだけではない。主題歌もビジネスである。 名探偵コナンの主題歌(オープニング&エンディング)には、コナンの名前は出てこない。 「真実はいつもひとつ」「身体は子供、頭脳は大人」の決めぜりふも出てこない。 歌はしょっちゅう変わっている。コナンの場合は、主題歌のCDのコマーシャルが流れている。 音楽番組に出してもらわなくても、確実に週に1回流れるのだ。 スポンサー料を払っても、十分見合うんだろう。 僕らは今でもアトムの歌とアトムが結びついている。「空をこえて ラララ 星の彼方〜」という主題歌は永遠のものだ。 今、コナンを見ている子どもたちが大人になって、昔話をするときには、主題歌は出てきにくいだろう。「どの歌が好きだったか」というような話題で盛り上がれるかもしれないが・・。 いつから主題歌がビジネスになり始めたのかは知らないが、多くのアニメの主題歌はおもちゃやゲームと同じく、音楽ビジネスに入ってしまった。 こんなふうに、子供番組の商品化をするというのは、いいことなんだろうか。 昔から、キャラクタービジネスというものはあったが、ここまで進んではいなかった。 子どもたちは、テレビを見て、テレビに出てくるモノを買うという行為は当たり前だ、と刷り込みされていくような気がする。 子どもに持ってほしい、未来に対する夢や、理想というようなものが、手塚アニメを筆頭とする昔のアニメにはあったと思うが、番組そのものが商品化されたようなもので、そういうものを伝えるという事ができるんだろうか。 最近感じることだが、資本主義が進み、消費すること自体の価値が上がり、なぜそれを作るのか、なぜそれを消費するのかという意味が薄れていっているような気がする。とにかく、消費することはよいことなのだ。 結局、テレビがモノを売るための媒体としての色を濃くしてきている、ということか。 これでいいのかな、と思う事が増えた今日このごろ。 おかしいのは自分の方なのか・・・。 |
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