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2021.05.24 Monday
寄り道
ぼくらの時代は浪人や留年など今よりも多かったし、ある種当然だった時代。
四当五落と言われ、5時間も寝たら通らないと言われた時期もあった。 今の全入時代とは異なり、入るのが難しい時代だったから、そうなったのかもしれない。 まあ、それは単なる一例だが、若い頃はそういう寄り道をすることもある。 それをテーマにした「俺たちの旅」というドラマなどもあった。 ユーミンの作った「あの頃のまま」という曲のテーマも、会社員にならず好きなことをやっている「君」がテーマになっていた。 世の中にも、寄り道を賛美する感覚もあったと思う。 だから、若者たちは今よりも寄り道がしやすかった。 もちろん、高度成長の時代でもあり、今よりも寄り道しても、本道に戻りやすかったこともあるだろう。 翻って、今は文科省が寄り道を嫌う。 留年者や退学者が多いと、注意される時代。 下位の大学は特にそうなりやすい。 下位になればなるほど、進学の動機もあやふやだし、経済的な問題もあるからだ。 そういう風潮の中で、実際に学生も「寄り道は悪」だと考える人も多い。 昭和の時代は寄り道には寛容だったが、平成、令和になって厳しくなっているのだ。 実際にこの歳になって、若い頃の1年、2年程度は別に影響ないと思う。 いや、逆に面白い経験や失敗をしたのなら、その方がいいという気すらする。 しかし、世の中の見る目は厳しい。 経済的事情で一度退学して、頑張って働き、そのお金で復学したという学生もいる。 家の手伝いをしようと退学し、専門学校に行ったが、諦めきれず復学した学生もいる。 そういう学生たちと話をしていると、なかにはいい加減な理由もあるが、だいたいは止むに止まれぬ事情があったりする。 いざ就活をしようとすると、やはり中退、復学などのケースは理由を聞かれることが多い。 留年でも、そうだろう。 中には寄り道は悪だと思っている人事もいるから、困ったものだ。 世の中がせちがらくなってきている。 こういうケースでは、寄り道の内容を総括して、そこからどういうことを考えたかを聞くようにしている。 そこは面接では避けて通れないからだ。 寄り道をしても、逆にそれをいい経験として自分にプラスに語ると、それは魅力になる。 寄り道は悪とは限らない。 そう考える人事が増えてほしいものだと思う。 |
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