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2017.07.10 Monday
パイン缶
小さい頃、パインの缶詰はごちそうだった。
どれくらい高かったのかは知らない。 あの緑色の缶詰を開けて、パインを食べるのはめったになかった。 桃の缶詰もそうだった。 黄色の桃や白い桃を切ってもらって、ガラスの容器に入れて食べていた。 夏はああいうのが食後に出てくると、特別だった。 今でもフルーツの缶詰はあるが、あまり特別という感じはない。 それよりも、生のフルーツが増えたからだろう。 いつごろからだろうか。 そういえば、サケ缶もあまり食べなくなった。 昔はサケ缶に入っている骨が食べたかったものだ。 人間の脊椎みたいな骨が、噛んで食べられる。 今缶詰といえば、もっぱらプルトップのツナ缶あたりだ。 長男がまだまだ小さい頃、実家に行ってパイン缶を食べた。 よほど美味しかったらしく、表情が変わった。 あの顔はよく覚えている。 本人が覚えているかどうかはわからない。 それからしばらく、実家に行くとパイン缶が出た。 今は生のパインを切ったものがパックで売られていたりする。 パイン缶は人気がなくなった。 保存の技術がいろいろできたから、缶詰にしなくてもよくなったということか。 人は生まれて初めて食べるものを食べて、味を知る。 小さい頃はそういう体験の連続だ。 パイン缶を「おいしい」と思った感覚は、大きくなるにつれて、どっかにいってしまう。 ぼくも小さい頃、フルーツの缶詰やバナナを食べて、そういう思いをしたはず。 年をとって、あの感覚を思い出せれば、晩年は味気ないものにはならないかもしれない。 |
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