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2024.10.25 Friday
歌舞伎の「世界」
「ブーフーウー」というNHKのやっていた子供向けの番組。
着ぐるみの人形劇だったらしい。 ぼくは子供の頃に見た。 1967年までやっていたというから、10歳までの時期だ。 何度か書いたが、「おしゃべりな古典教室」というラジオ番組を毎週聞いている。 先週からは、4回シリーズで「歌舞伎作者になってみよう」という企画。 歌舞伎の世界というのは、オリジナルのストーリーではなく、「世界」という、みんなが知っている歴史上の物語を元にして作るのが普通なのだ。 今でいうと、パロディというのに近いのかもしれない。 源義経や平清盛のような歴史上の人物や、当時よく知られていた物語の世界自体が題材。 そこから、人物像を変えたり、そこにないようなキャラクターを登場させたりする。 また、2つの世界を組み合わせるというようなこともアリだという。 だから、逆に現代では難しくなるのだろう。 みんな、その「世界」を知らないからだ。 そこで、あらたにリスナーも歌舞伎を作ってみよう、ということで出された「世界」が「三匹の子豚」。 たしかに、童話でみんなが知っている。 怠け者の長男はわらの家、次男は木の家、三男はレンガの家を作るというところは誰もが知っている。 「ブーフーウー」は「三匹の子豚」の世界を借りているということだ。 その物語の「世界」の上でどう面白くするか、というのが「新しい歌舞伎」を作るということ。 なかなか面白い企画だ。 でも、それが今歌舞伎を理解する時の障害になっている。 昔の「世界」が共有できないからだ。 そこが難しいところ。 古典落語でも、そういう「世界」があった。 芝居の話で、「忠臣蔵」を知らないと笑えない、というものもある。 古い言葉がわからなければ、現代の言葉に変えたらいいが、そういうある意味当然知っている、という約束事が成り立たない。 こういうのは、どうしようもない。 日本の伝統的な「世界」という考え方は面白い。 そういえば、そんな要素がいろんなところに残っているのかもしれない。 世の中の物語に本当にオリジナルなものなどほとんどない。 ラノベのファンタジーなど、どこかの「世界」を借りているのかもしれない。 そういう伝統がマンガやアニメで生かされているのだろうか。 |
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