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2024.08.09 Friday
大学での算数
Facebookのニュース紹介で、大学教授の濱中裕明氏という方のコメント(2023年7月)が紹介されていた。
「実は昔、とある大学で『数学』の授業の非常勤を数年したことがあるのですが、内容はほぼ算数でした。 その初回でプレテストとして(状況把握のために)いくつか問題を出して、そのうちの一つが「1000円の2割引はいくらですか」という問題でした。 そのプレテストの解答の中には、「1000−2=998円」「1000÷2=500円」他にも「2割=0.2である。よって1000÷0.2=5000円」という解答もあった。 楽しい プレテストを返却するときに言ったんです。「割引き、っていうから、割り算か引き算だと思ってるみたいだけど、掛け算だよ」(どよめき) そのあと色々ありましたが、割合というものを理解せずに大人になると、こういう風になるんだなぁ、というのを目の当たりにした感じでした。 もちろん、速さなんて理解してなくて「時速4kmで2時間進と、何km進みますか」という問いに対しても、多くの学生が「はじきを忘れたので、解けません」でした。 面白いことに、そんな彼らも、数の計算ができないわけではないのです。 例えば、280×3.2を計算してといえば、計算できます。(もちろんケアレスミスをすることもありますが)しかし、数直線を書いて、100、200、300、という目盛をつけたあと、280はどこ?(これは分かる)を確認したあと、280×3.2はどのあたり?と聞くと、「そんな難しい計算はやってみないと分かりません」というんですね。なるほど、と思いました。 大事なことは計算の練習ではなくて、割合の表現が何を意味しているかの理解なんですね。 そんな彼らに、割合とは何か、速さとは何か、彼らがつまづいてしまったところからきちんと授業しましたよ 授業の最後の感想文には、「これまで買い物の時、割引ってわからなくて、いつも心配でした。でも先生の授業で、安心して買い物できるようになりました。ありがとうございました」と。 ちゃんと、教えれば分かるんですよね。」 これに対するコメントにこういうのがあった。 「なるほど…。 由々しき問題不足しているのは計算能力ではなく、読解力や応用力だったということでょうか。 たくさんの小学生の算数の勉強を見ていると実感出来てしまいます。計算の答えが合っていうことで満足してしまい、その計算が何を表しているのか興味も関心もない子の多いことに。困ったことに文章問題で何が問われているのか理解出来ていないにもかかわらず、それが表面化しづらいという…」 ぼくも全く同じ意見。 計算はできても、割合の意味がわかっていない大学生が本当に多い。 足りないものは「読解力」と言っていいのかどうかはわからない。 要は「概念操作」の力なのだと思う。 自分の手で触れないものに、人生で最初に出会うのが算数の割合なのだと思う。 それは要するに、単位分数の「1」が全体を表す、ということがわかっていないということだ。 だから、「1」には2つあって、一つは1個、2個、3個、…の自然数としての「1」と、全体を表す割合の「1」がある、ということを教えないといけない。 ただ、問題はそれをわかっている小学校の先生がどれだけいるか、ということだと思う。 |
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