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2024.08.06 Tuesday
キャリアカウンセラー
2015年から、キャリアカウンセラーの仕事をしている。
対象は大学生だ。 それ以前にも、2007年から大学の事務をしながら、キャリアの学生相談はしていた。 したがって、この道10数年になる。 まあ、10年やればほぼ一人前ということだろうと思う。 仕事の環境から、学校の偏差値は低い方に寄っていて、文系の相談がほとんど。 それをベースに、学生のキャリア相談について書く。 ぼくが相手にしている学生のうち、半分くらいは自分が新卒で働くということについて、就活の時期になっても、「どこで働く」というイメージが持てていない。 就活初期はそういう相談が多くなる。 自分のことを思い出しても、同じだ。 幸い、ぼくは理系だったし、当時の理系の新卒求人は、人事が求める学部学科がある大学を回って求人票を渡していた時期だった。 だから、学校に来ている求人の中から選ぶというのが一般的だったと思う。 ぼくは、25年間タイヤの仕事をしたが、それを選んだのは学科の事務に行って、ここを受けたい、というを伝えて、受けに行ったという経緯だった。 大学院指定の会社もあって、学部卒で行ける会社を選んだ。 そんなに多くのチョイスはなかったと思う。 友達の下宿に、リクルートか何かの電話帳みたいな冊子があって、そこで「就職いややなあ」などと言いながらページをめくっていたら、学校で見た覚えのある会社が出ていて、さらにそれが地元の会社だったので、「ここにしよ」と決めたのだった。 夏休みに受けに行ったら、人事課長が会ってくれて、試験も何もなくOKだった。 3月末に寮に入って、4月1日に入社式。 そのあと、エライさんの講話があったと思う。 早めに終わって、人事課長が入社に際してお世話になった先輩にあいさつに行け、と言われたが、ぼくは誰にもいなかったので、どこにも行かなかった。 当時から、リクルーターとして先輩社員を大学に送りこんで、新入社員を連れてくる、という制度はあったのだ。 多くの同期の社員があいさつに行ったので、ぼくはびっくりした。 クルマは好きだったが、地元の会社というだけで入ったので、この業界とか、この会社とか、そんな思い入れは全くなかった。 先生の紹介で行った人もいたようだが、1970年代後半はまだそんな時代だった。 だから、学生がどの業界がいいのか、どんな会社で勤めたらいいのかなどと聞かれても、難しい。 一般論として、現在の日本の基幹産業である自動車業界とか、これから必須になるITや半導体の有力メーカーなど、さらに海外進出していて、たくさんの現地法人を持っているところなどは、いいと思う。 でも、文系の学生だから、そのへんはちょっと馴染みがない。 どうしても理系でないといけない、と思ってしまうからだろう。 当然、どんなメーカーでも文系の社員は必要なのだが…。 外食業界も、日本の食文化は世界で評価されているし、大手は海外進出に熱心なのでいいと思うのだが、店舗で働くというところはしんどい。 みんなアルバイトで経験していたりするから、社員のぼやきを聞いているからだ。 前にも書いたが、みんな就職するのはうっとうしいのだと思う。 特にぼくらの時代は、学生運動の末期で、まだ学校にヘルメットを被った学生がウロウロしていた頃。 働かないといけないから、仕方なく働く、というのが最初の動機になる。 実際に働いてみないと、社会で働く意味など実感できないのは当たり前。 自分のやっている仕事が、どんな風に世の中の役に立つのかなど、やってみて初めてわかるのだろう。 今は仕事体験とか、インターンシップなどがあるので、そういう「何の仕事をしたらいいかわからない」という人には、ぜひインターンシップに何社か行って、それをもとに考えよう、などと言っている。 今はオンラインで、業界や会社のことを知ってもらうために、Onedayのインターンシップなどもたくさんあり、そういうのは選考もなしだったりするから、そういうところで「働く」ということについてイメージしたらいいのだ。 所詮、仕事なんてやってみないとわからない。 キャリアの学者も言っているのは「仕事は運と縁」だということ。 だから、とりあえずここなら大丈夫だろう、というところに就職して、まず3年は一生懸命やってみる。 それで、どうしても嫌だったら、異動させてもらうか、転職する。 今は転職市場も大きく広がっているし、終身雇用からジョブ型への転換もあるから、最初の職場でつけたスキルを活かす、ということも考えてやればいい。 そういう時代が来たのだと思う。 ぼくらの就職した時代とは隔世の感がある。 またまた、老兵は去りゆくのみだ。 |
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