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2024.06.03 Monday
「セクシー田中さん」報告書
セクシー田中さんというマンガが人気があり、テレビでドラマ化された。
その原作者であるマンガ家・芦原妃名子さんが亡くなったという事件。 ドラマ制作をした日本テレビが、今回社内で作った特別調査チームの報告書を出した。 ぼくは全く原作者の芦原さんの作品は知らないが、ドラマ化されるくらいだから、人気があったのだろう。 自分の作品に対する思い入れもあったのか、ドラマ化についてはいろいろと脚本に注文を出していたという。 特に、この作品はまだ終わっておらず、原作通りに描いてもらわないといけない、ということは小学館を通じて日本テレビに伝えていた、ということだ。 そうでなくても、原作者の意図というものを大事にしないといけない。 それで意見が合わないのなら、ドラマ化などしなくていいのだ。 それが創作物を生み出した作家に対する態度だと思う。 最後の方は、脚本に対して原作者が異論があり、脚本家に変わって自分で脚本を書いたらしい。 〈色々悩んだのですが、今回のドラマ化で、私が9話・10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情を、小学館とご相談した上で、お伝えする事になりました〉 という記事が文春に出ている。 こっちのほうが面白いから、という理由で勝手に書き換えてしまう、というのは全く原作者に対する敬意がないと言っていい。 俗に言う「パクリ」という行為になるからだ。 結局、このことが原因で芦原さんは自殺してしまった。 X(旧ツイッター)に載せた最後のポストは、 攻撃したかったわけじゃなくて。 ごめんなさい。 というものだったという。 それを受けての日本テレビの報告書だ。 日本テレビと小学館の関係者は全部匿名になっており、芦原さんだけが実名。 なんだか、テレビ局の傲慢を絵に描いたような話。 才能豊かな漫画家が一人死んでいるのに、在京元プロデューサーという人がこんなコメントをしている。 「●今同のことを受けて ・これで怖がっちやいけない。安全にドラマを作る方法なんてない。それはみんな意見が違うし考え方が違う。その中で人間の生き方みたいなものを提示していかなけれぱいけない。意見の食い違いもケンカもいろんなことがあって、プロデューサーが代表して、こういうドラマを世に問うんだと原作者、脚本家をまとめやっていかなきゃいけない。それを怖がっていたら面白いモノが出来なくなってしまう。そういう危険は今後もはらんでいるだろうけれども、だからこそ話し合ってコミュニケーションをとってやっていくしかない。 ・放送局としてはまず第一に社員を守ることが仕事。社員を守るために早く結論を出すとか、その原作 に係るトラブルの際に早く赤信号みたいなものをキャッチし、社員ができるだけクリエィティブに物 を作る環境を整えるのが会社の仕事。」 まるで自分たちが考えるものだけが「面白いモノ」だという言い方。 未完の作品を改変してドラマ化しているのに、原作者の了解すら取っていない。 社会的には許されない行為だ。 契約書すら結んでいなかったという。 コンプライアンスなどどうでもいいのだろう。 今やマンガは日本の財産なのだ。 将来有望な漫画家を死なせた罪は重い。 「日本テレビなどなくなっても、全く困らない」というツイートがあったが、本当にその通りだと思う。 2024.6.4追記 さすがに小学館が出した報告書は、マンガの作家を守るために、今後は早期に契約書を作るなどと書いてあるらしい。 それはそうだろう。 テレビよりも、作家が大事だ。 |
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