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2023.11.30 Thursday
大衆の怖さ
朝ドラの「ブギウギ」は今日本が戦時体制に入ったところをやっている。
ヒロインは梅丸楽劇団に所属しているのだが、どんどん警察や軍部の圧力でショーができなくなっている。 「贅沢は敵」とか「敵性用語」などという言葉も縁遠くなってしまったが、それらが出てくる。 平成以降の人たちには、もう過去の遺物になっている言葉。 ドラマの中で、サキソフォンは「金属製先曲がり音響出し機」と言われていた。 ギャグではない。 そんなバカなことを、大真面目にやった歴史があったということだ。 歌劇は観客も減り、バンドメンバーも、ヒロインもショーをやっている実感がない。 当然、経営も苦しくなってくる。 こないだの場面では、ショーが終わって帰りに事務所に寄って、責任者にヒロインが詰め寄る場面があった。 経営は苦しい、と責任者はいう。 お客さんも気の毒だし、警察や軍にもっと実情を言ったらどうか、という言葉に対して、彼は机の下から大きな箱を出してきて、中の紙を机の上にぶちまける。 それは、梅丸楽劇団に対して、大衆の苦情が書かれたものだった。 要は、一般大衆の声のほうが警察や軍よりも怖いということだ。 きっかけが警察や軍であって、それに煽られた大衆が「こんなものを戦時下でやるべきではない」ということを投書しはじめる。 そうなると、一般大衆のほうが暴力的だ。 しかし、過去のことだと笑っていられない現実がある。 マスコミや「専門家」による煽りは、古くは「安保反対」の学生運動、新しくはコロナでもあったし、放射能や原発でもあった。 原発やコロナはいまだに反省されない。 戦後、大衆はコロッとアメリカ製の民主主義に賛同した。 警察や軍は悪者になって、非難された。 最も非難したのは、大衆だったのだろう。 それが「安保反対」につながった。 結局日本人は昭和初期から何も変わっていないのだ。 |
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