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2023.11.19 Sunday
自賠責保険
車やバイクに乗る人なら、自賠責保険という言葉は聞いたことがあるはずだ。
この保険は納車時や車検時に必ず入らないといけないもの。 「自動車損害賠償保障法」という法律で加入を義務付けている対人保険で、この保険の概略をネットで調べると、 ・原動機付自転車を含むすべての自動車は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険に入っていなければ運転することができません。無保険運転は違法となります。 ・自動車の運行で他人を死傷させた場合の人身事故による損害について支払われる保険で、物損事故は対象になりません。 ・被害者1名ごとに支払限度額が定められています。1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者の支払限度額が減らされることはありません。 要は、交通事故の被害者のために、運転者が入らないといけない保険、ということだ。 ビッグモーターの不正請求の問題は、修理費用を大きくして損保ジャパンに請求していたものだが、この問題の裏側には自賠責保険の保険料があるという。 日本人は役所を過度に信用しているので、自賠責保険は役所が取るものだから無条件に払ってしまって、その内容を吟味しない。 でも、中にはおかしいと思う人もいる。 そういうジャーナリストが書いた記事を読んだ。 それによると、損保ジャパンがビッグモーターとの契約を再開しようとして社長が辞任したが、その原因は自賠責保険の契約だという。 内容は、損保ジャパンの契約者が事故を起こし、事故車を1台ビッグモーターに入庫すれば、自賠責の契約を損保ジャパンに5件渡すという取り決めがあったらしい。 それほど、自賠責保険は儲かるということだ。 ところが、本来は自賠責保険というのは、ノーロス・ノープロフィットで運営されているもの。 説明は下記。 『民間企業である保険会社が販売する一般的な保険には、付加保険料率の中に利潤が織り込まれています。しかし、自賠責保険は、社会政策的な側面をもつ保険であることから、その保険料率は「能率的な経営の下における適正な原価を償う範囲内でできる限り低いものでなければならない」ことが法令で規定されており、利潤や損失が生じないように算出する必要があります。これを「ノーロス・ノープロフィットの原則」といいます』 加入が義務付けられているのだから、それは当然だとも言える。 それが「儲かる」というのはおかしい。 損保ジャパンの社長の記者会見によると、自賠責保険の売上は「収入保険料」で計上され、2022年度の自賠責による収入保険料は、20億6000万円。 儲けはないというが、1件あたり5056円の「社費」が入ってくるという。 この「社費」は業界全体で年間2000億円を超えており、大変大きな額になっている。 本来は国や役所がやるべき保険業務を代行している、という面はあるが、損保会社が実際に自賠責契約をビッグモーターに紹介してもらって、増やそうとしていたくらいだから、少なくとも「ノーロス・ノープロフィット」ではないだろう。 この記事を書いたジャーナリストは750ccのバイクに乗っており、その自賠責保険が6万円もすることに疑問を持ち、いろいろ調べて記事にして、国交省と運輸省に申し入れを行ったという。 その結果、6万円の保険料がどんどん引き下げられて、30年経って8760円まで下がった。 いかにいい加減な計算をしていたか、よくわかる。 この記事でも言っているが、この際自賠責保険制度に関して、もっとぼくらが関心を持って文句を言わないといけないと思う。 記事はこう締めくくられている。 「今回のビッグモーターに絡む問題も、自賠責保険を舞台に起きたわけだが、仮に、この保険に何らかのメリットがあるのだとすれば、公共性の高い保険に甘い汁を認めた国にもその責任の一端があると言わざるを得ない。 筆者はビッグモーター問題の発覚以前から、自賠責保険の「社費」の金額を具体的に示し、記事を書いてきた。今回、あらためてその数字を出したところ、この業界で仕事をされている多くの方からも、「そんな高額が支払われているとは知らなかった」「本当にそれだけの額が必要なのか?」と言った驚きや疑問の声が多数寄せられた。 現在の自賠責保険料が緻密に算出されていることは理解している。しかし、そもそも保険会社は、「利益」が全くないにもかかわらず、なぜ自賠責保険の契約がそんなに欲しいのか――。損保各社から申告されている「社費」という名の手数料は本当に適正なのか。また、契約者から受け取った自賠責保険料はどのように管理、運用されているのか。 一連の疑問を払拭するためにも、この機会に改めて、保険料を支払っているすべてのユーザーにもわかるよう、さらに具体的なデータを開示し、説明してもらいたいと思う。自賠責保険料は全国のドライバーが「被害者救済」のために納めた大切なお金なのだから。」 本当にそうだと思う。 |
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