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2023.08.29 Tuesday
キーボード
母は息子たちに鍵盤楽器を習わせたかったようで、ぼくも弟も学校の近所のオルガン教室に行った。
2006年にそのことを書いている。 今でも後悔はしているが、今さら言っても仕方ない。 70年代にシンセサイザーという楽器が出てきた。 最初はアナログで単音楽器だった。 いろんな音が人工的に作れるということで、興味があって雑誌を買ったりした。 有名なところでは冨田勲だった。 何枚かレコードも出していたはず。 サイン波、矩形波、三角波という3つの波形をオシレーターで出して、それを加工していく。 一度FMラジオで冨田勲が音を作るところを解説していた。 題材は口笛で、もとになるピーという音を作っても、全く口笛らしくない。 人間は耳で聞いて音の高さを調節するので、音程を時系列で表すと低い方から段々と上がっていき、そして狙いの音程をちょっと超えたところで下げて、その音になる、という説明があった。 その通りに音程にカーブをつけると、急に口笛になった。 ふーん、これはすごい、と思ったが、その当時のシンセサイザーは壁一面にツマミがついたユニットを並べたようなもので、とても素人が手を出せるようなものではなかった。 その後、アナログがデジタルになり、8音同時に出せるようになったりして、だんだん普通の楽器になってきた。 80年代はヤマハ、ローランド、コルグという3つのメーカーが世界的にも強く、この世界でも日本の圧勝だった。 もしもぼくがキーボードを弾けていたら、買いたいと思ったものがたくさんあった。 ローランドのJupiter8とか、ヤマハのDX-7とか…。 東京でやっていた楽器フェアに出張の帰りに見に行ったりしたことを覚えている。 でも、弾けないから買っても仕方がない。 このとき、カシオのギターシンセを買った。 今でも置いてあるが、現役で音は出る。 当時はシンセサイザーというと、新しい音を作る、という楽器だった。 だから、80年代のポップスはすぐわかる。 特徴的な、これぞシンセサイザーという音が聞こえるからだ。 でも、そんなに新しい楽器の音は残らなかった。 結局、既存の楽器の音が使いたいということだ。 そこで出てきたのが、音を作るよりも、その楽器の音を録音してしまえばいい、という発想。 これには、デジタル技術が発達し、メモリーが飛躍的に安くなったこともある。 そして、ピアノならピアノの音をサンプリング(録音)して、それを鳴らすというPCM方式が一般的になった。 一つの鍵盤から、ピアノの音も出るし、ストリングスの音も出るし、ブラスの音も出る、という具合。 キーボードが1人いれば、いろんな音が出せるということだ。 小学校の時、1回行ってやめたオルガン教室にずっと通っていたらどうなっていただろう。 シンセにたくさんお金をつぎ込んでいただろうか。 今でも鍵盤が弾ける人を見ると羨ましい。 |
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