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2023.04.29 Saturday
風と君を待つだけ
お風呂で小田和正の曲を流していたら、彼の曲には「誇り」がよく出てくることに気づいた。
「誇り」というのはあまり歌詞に出てこない言葉だと思うが、彼は好んで使う。 特に年を取ってから出てくるように思う。 中年以降だ。 彼は1947年生まれだから、今年76歳。 60年代末から70年代初頭の全共闘華やかなりし頃に、大学で過ごしている。 今の彼はわからないが、その頃は音楽をやっていたとはいえ、心情的に左翼だったと思う。 その頃は大学生はほとんどそうだったはず。 左翼というのは過度の理想主義だ。 だから、理想を掲げるというような歌詞も、そういえばよく出てくる。 1992年の「風と君を待つだけ」という曲。 この曲は若い頃に理想を掲げていたが、今は不遇な「君」を励ます歌のように聞こえる。 どうしても今 君に伝えたい 今でも君を 誇りにしてたこと いつも憧れて 追いかけていた 最初にこういう歌詞で始まる。 具体的に誰かのことをイメージして作ったのかどうかは、本人しかわからない。 小田のイメージは、「君」は女性だったらしい。 きっと誰かのことを歌ったのだろうと思う。 Aメロに続くBメロでは、 誇りを捨てないで 諦めないで ひとりにならないで 僕らは信じている 君が手を高く上げて 肩を並べていつかまた 走り始めることを この部分は3回繰り返される。 僕らというのは、全共闘世代の団結なのだろう。 一人ではない「僕ら」なのだ。 ぼくは30代で左翼は卒業したが、この曲を聞いていると何だか心が動かされる。 今の仕事につながるのだ。 就職という、社会の荒波に出ていく若い人たちの手助けをする仕事だ。 お祈りメールをもらって、自分は要らないのか、と落ち込む学生もいたりする。 そういうときに「誇りを捨てないで」と思う。 最後はこういう歌詞。 それぞれの想いと夢を乗せて 静かに時はゆく 今船は真白に輝く帆を 高く上げて あとはただ強い風と 君を待つだけ そういう思いで「君」に進んでほしいと願う。 |
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