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2022.12.06 Tuesday
若者の住宅事情
1970年代に欧米の人たちが日本人の住宅事情を揶揄して、日本人はウサギ小屋に住んでいると言っていた。
当時、そういうニュースを見た覚えがある。 家族が多い家は、夜は押し入れの布団を出して、一人は押し入れの中に布団を敷いて寝るという工夫をテレビで見た。 ああいうのが、ウサギ小屋ということだったのだろう。 でも、今の若者はもっとひどい。 だいぶ前にニューズウィークの記事で、舞田敏彦という人が記事を書いていた。 題名が「ワンルームより狭い「半ルーム」にしか住めない若者たち」というもの。 それによると、最近の若者の間で、ワンルーム(6畳)の半分の3畳の部屋が人気があるとのこと。 通勤地獄は避けたいということで、都心に住みたいとか、先行き不透明で身を軽くしておきたいとかいう気持ちはあるかもしれない。 しかし、経済的にこういう部屋しか借りられないという事情もある。 世田谷区の5.9畳以下の平均家賃は5.4万円もする。 一方、家賃の保証会社(最近はこういうのがあるらしい)の審査は家賃/月収比が25%までという。 ということは、月収15万では家賃3.8万までしか借りられないことになる。 したがって、月収15万では東京23区内ではワンルームすら借りられない。 こういう人が寝るだけの部屋として3畳程度の部屋を借りるのだろう、と書いている。 「月収14万」がSNSでトレンド入りし、若者の貧困化は進んでいる。 全国で見ても、都内で見ても、年収200万に満たない人が多く、中央値は全国182万、都内23区が203万。 税引前でこれだから、実際の手取りはもっと安いという。 舞田氏は教育社会学者だが、記事をこう締めくくっている。 「人口減少や高齢化でモノが売れないのに、消費意欲旺盛な(稀少な)若者を鳥かごに押し込んでいるのだから始末に負えない。先月の北京冬季五輪では日本代表選手の勇姿が見られたが、寝具と生活必需品で埋まった3畳ではスキー板など置けるはずもない。よく言われる「若者の〇〇離れ」には、住の貧困も寄与しているのではないか。 真っ当な「住」を保障することが、若者の離家・婚姻を促し、少子化の歯止めにもつながる。新たな世帯を構えるのに必要な家電等の消費も増え、景気も刺激される。山田昌弘教授の『パラサイト・シングルの時代』(1999年)で言われていることだが、20年を経た今も状況は変わらず悪化の兆しすらある。」 本当に過度な社会保障の支出を、可処分所得の低い若い人たちから取るのはなんとかしないといけない。 いくら名目賃金が上がっても、その分社会保障の負担金が増えたら、何にもならない。 実際、こないだの日経の記事によると、若い世代は特に給料が増えても社会保障の負担が増えて、実質的に給料が上がらない。 名目では5万円ほど上がっても、税と社会保障の負担で消えてしまう。 若い世代の手取りを増やさないといけない。 それこそが、本当の少子化対策になるのだろう。 |
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