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2022.12.05 Monday
9060問題
うちの母は92歳。認知症で老人ホームに入っている。
ぼくは、来年で66歳。 年齢的には90代の親を60代の子どもが見ている、という9060問題になる。 以前、8050問題というのがあったが、そこから時間が経って、9060問題になった。 今年の1月に、ちょうどぼくと親子の年齢が同じケースで親が亡くなり、子どもが訪問介護の医師を撃ち殺したという事件があった。 同じような事件が起こっており、たいがい犯行は男性。 これが9060問題を表している。 うちの母の年金は、父がいろいろやっていたのでそこそこ多い。 だから、うちの母は2017年にサービス付き高齢者向け住宅に引っ越しをした。 坂の上にある家では、もう生活ができないと思ったからだ。 脳梗塞や心不全をやったことも一因。 それまでの実家には54年住んだ。 祖父が買っていた土地に、家を建てて引っ越したのがぼくが小学校1年の時だ。 まだ家の前の道が舗装されていなかったし、テレビは白黒だった。 母が実家を離れるときには、もっぱら生協の宅配で買い物をしていたのだが、同じものをいくつも買っていたりして、しんどかったのだと思う。 だからこそ、自ら近所のサービス付き高齢者向け住宅にかわったのだ。 そこでは食事は食堂で食べられるので、朝だけパンを焼いて食べ、昼晩の2食は頼んでいた。 毎月の家賃を払って、少し足が出るのだが、それは貯金でなんとかしのいでいた。 そうこうするうちに、大腿骨頭骨折というのをやって、入院した。 そこで環境が変わり、認知症が進んだ。 退院していろんなものが無くなったり、何度も電話がかかってきて「どうしてるんや」と毎回聞かれたりした。 何度か路上で倒れて、救急車で緊急搬送され、迎えに行ったりすることが増えた。 2020年にコロナになって、反対側の足の大腿骨頭骨折をやって、3ヶ月の入院したのが決定的だった。 ほとんど面会もできず、ケアマネからもうサービス付き高齢者向け住宅では対応できないという話をもらい、今の老人ホームに移った。 いろんな要因があるのだろうが、知り合いの誰とも会わないという環境は、認知症を劇的に進めたと思う。 そのころから、もうテレビも見なくなった。 そんなこんなで今は自由に外出できない老人ホームにいる。 それは良くないことだと思うが、ここまで行ってしまうとやむを得ないと思う。 幸い、母の年金額と貯金の額がそれを経済的に加納にしている。 冒頭の、訪問介護の医師を撃ち殺した事件は、子どもが無職で親が死ぬと年金もなくなり、自分が生活ができなくなる、という状況で起こった。 ずっと無職だったのかもしれない。 収入がなくなって、経済的に生きていけないということで、犯行に及んだ。 これが8050問題に続く9060問題。 それに関連して「親の死体遺棄」や「親の年金・生活保護費の不正受給」などの事件が後を絶たないという。 これが現代の日本の闇だ。 |
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